ヤフー(本社東京都、川邊健太郎社長)は19年10月、出店者がモールの規定する条件をクリアする必要がある「PayPayモール(ペイペイモール)」を開設した。当初600社だった「ペイペイモール」への出店者数は現在約800社にまで増加し、良好な滑り出しとなっている。ヤフーの畑中基執行役員コマースカンパニー・ショッピング統括本部長に、「ペイペイモール」の動向を中心とした運営面での強化点や今後の予定について聞いた。
■特徴はリピートの高さ
─「ペイペイモール」運営の手応えは。
取扱高を含め予想以上に好調に推移している。出店しているストアの皆さまからもポジティブな声をいただくことが多い。例えば、家電系のストアからは「消費増税後の反動でリアル店舗の売り上げが伸び悩んだが、『ペイペイモール』ではかなりの商品が売れた」とか、「暖冬でホットカーペットが売れない状況が続いていたが(『ペイペイモール』に)出店することで売れた」などの声をいただいている。
「ペイペイモール」では家電の取扱高が力強く伸びている。現在販促で「100億円相当あげちゃうキャンペーン」を行っているが、この効果も売り上げの伸びに寄与している。「ペイペイモール」ならではの特徴で、ヤマダ電機、上新電機、エディオンなど知名度の高い家電量販店が多数出店しており、各家電量販店ないしは商品群を網羅していることも売り上げをけん引している。
─「ヤフーショッピング」と比較した際、利用者に特徴はあるか。
「ヤフーショッピング」と比べると、初回購入したお客さまが次回もリピートしてお買い物をしてくれる確率が「ペイペイモール」の方は非常に高い。お得ということもあるが、「ヤフーショッピング」と比べるとトータルの安心感が大きいというのが理由だと考えている。
■店舗受け取り機能導入
─「ペイペイモール」発足から現在まで最も注力してきたことは。
「ペイペイモール」の目標として、お客さまにより良い購買体験をしていただくことを念頭に置いている。そのためには探しやすさ、買いやすさなど顧客満足度を高めるために、リリース後も、かなりの回数のバージョンアップを行ってきた。まだまだ至らない点があるので、改善は続けていく。
─至らない点とは。
カテゴリーがやや絞り込みにくいことだ。カテゴリーをツリー状にして表示しているが分かりにくい。UI/UXはまだまだ改善の余地がある。カート部分についても、「ヤフーショッピング」と比較すると一つステップが多い。改善は終わりのないことで、徹底して引き続き取り組んでいく。
─今後の展望は。
グループをあげてリアルの決済として「PayPay(ペイペイ)」を盛り上げ、2000万人を超えるユーザーを獲得した。今後はリアルとネットをどうやってシームレスにつないでいくのかという段階だ。
「ペイペイモール」の機能の一つに「店舗受け取り機能」があり、これの早期導入に向けて現在は準備を進めている。実証実験に向け、各ストアに声をかけている最中だ。
「ペイペイモール」で購入して近くの実店舗で受け取る、「ペイペイモール」で決済しなくてもリアルの店舗に足を運んで商品を気に入れば買う、そしてあわよくば「ペイペイ」を決済として利用してもらうなど、施策を進めていく方針だ。お客さまやモノ(商品)をシームレスにつなぎ、より良いサービスを提供していきたい。
【Eコマース業界地図〈「ECモール&プラットフォーム編」〉】 〈ヤフーショッピング/PayPayモール〉ヤフー 畑中基執行役員コマースカンパニー・ショッピング統括本部長/ペイペイモール、良好な滑り出し
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