アパレルメーカーのHessed studios(ヘッセドスタジオ、本社韓国)は今年9月27日、日本のインフルエンサーがセレクトしたファッションのネット販売プラットフォーム「NUGU(ヌグ)」を開設した。4人の日本人インフルエンサーが選んだアイテムを販売すると、11月の月間売上高は約6000万円になった。最も売り上げたインフルエンサーは、160万円以上の月収を得ている。
韓国ではインフルエンサーのネット販売プラットフォームが増えている。有力プラットフォームは19年に100億円以上の流通総額を記録し、20年には200億円に拡大する勢いだという。
「韓国ではインフルエンサーがプラットフォームで販売したり、『Cafe24』などのシステムを活用して自分でECサイトを立ち上げるケースが多い。日本で7万人のフォロワーがいるインフルエンサーと話したときに、バイトしかしていないと聞いて驚いた。韓国ではありえない。自分の好みではない商品のPRなどでお小遣いを稼ぐよりは、好きなファッションでビジネスが始められるサービスを提供しようと考えだ」(パク・ハミンCOO)と話す。
■初日に売上400万円
「NUGU」はインフルエンサーにとってリスクのないファッションECプラットフォームだ。ヘッセドスタジオは、スカウトした日本のインフルエンサーを韓国に招待し、日本人スタッフからサービスの説明を行っている。
インフルエンサーはファッションの卸市場である東大門市場で商品をセレクト。ヘッセドスタジオのスタジオで撮影したスタイリングの写真をインスタグラムで紹介し、購入したいユーザーを「NUGU」のサイトに誘導して販売する。売り上げの10%をインフルエンサーや仲介したエージェント企業に提供している。
「インフルエンサーをスカウトする基準はフォロワー数だけでなく、投稿内容やフォロワーの中身も確認する。同性のフォロワーが多いか、ファッションの投稿が多いか、フォロワーからはファッションに関する質問のコメントが多いかなどを分析し、販売力を確かめている」(同)と言う。
「NUGU」はインフルエンサーの影響力を生かし、開設初日に400万円の売り上げを上げた。「NUGU」のインスタグラム公式アカウントも1日1000人以上フォロワーが増えており、5万人以上のフォロワーを獲得している。
注文処理や商品の発送、カスタマーサポートなどの業務はヘッセドスタジオがすべて行うため、インフルエンサーは運営の手間がかからない。注文があった商品を東大門市場から仕入れて日本に輸送するため、ヘッセドスタジオにとっても事業リスクは小さい。
「日本人の女性スタッフもおり、韓国でも日本に帰ってからも日本語でサポートできる体制もある」(同)と話す。
今後はさらにプラットフォームに参加するインフルエンサーを増やす。20年に日本に拠点を設け、20年春にはインフルエンサーのコンテスト企画なども実施する計画だ。すでに参加しているインフルエンサーとは、販売状況などをもとにオリジナルアイテムの企画・製造にも取り組みたいという。
【〈現地リポート〉韓国ファッションEC】 ヘッセドスタジオ〈「NUGU」〉/月間売上6000万円/日本のインフルエンサーが服を選別・販売
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