N―LINE(エヌ・ライン、本社韓国)が展開するカジュアルブランド「NANING9(ナンニング)」は、SOHOブランドの成功事例として知られている。実店舗からスタートしたが、06年にECサイトを展開してから急成長を遂げた。19年12月期の売上高は約124億円を計画。海外展開やブランドの多角化で売り上げを伸ばし、20年12月期の売上高は約198億円にまで拡大したい考えだ。
イ・ジョンミン社長が地下商店街でアパレルショップを開店し、コストパフォーマンスが高い女性向けカジュアルウエアブランドとして「NANING9」を立ち上げた。
06年にEC展開を始めてからは、独自のスタイルを伝えるために、写真にこだわることでブランドの魅力を広めていった。
ECで認知度を上げていった「NANING9」は13年、ロッテデパートに出店した。地下商店街から始まったブランドが、デパートに出店するということは当時、画期的なことだったという。現在は約50のリアル店を展開している。
リアル店とECは顧客層が違うと考え、オムニチャネル施策は展開していない。基本的に取扱商品を分けており、価格帯も違うという。
■日本に本格進出
ブランドの多角化と海外展開を加速している。今年4月、「自分だけ知っておきたいコンテンポラリーブランド」というコンセプトの女性向けアパレルブランド「JULL―LOG(ジュローグ)」のネット販売を開始した。発売4カ月目には月商1億円を突破。19年で約12億円の売り上げを計画している。
「『JULL―LOG』は客単価が『NANING9』の2倍近い1万5000円ほど。ターゲットは30代から40代くらい。イ社長が40代になり、同年代のニーズを把握して作ったから最初から成功した」(ソン・ドクCOO)と話す。
9月には化粧品専門のN―LINEビューティラボを立ち上げ、化粧品の開発・販売に注力している。
海外展開では今年7月に、中国でジョイントベンチャー(JV)を設立。中国での販売体制を強化した。
日本では「Qoo10」をはじめ、「楽天市場」「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」に出店し、EC展開を強化している。日本の上代価格ベースの売上高は年間10億円規模になった。
「日本の流通企業と12月中にもジョイントベンチャーを立ち上げ、本格的に日本事業を展開する計画だ。EC事業をもっと本格化したい」(同)と意気込む。
【〈現地リポート〉韓国ファッションEC】 N―LINE〈「NANING9」〉/SOHOブランドの成功例/海外・新ブランド強化し、来期売上198億円
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