【愛知ネット経済新聞】 ものづくりの地域でEC活性化

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 愛知県は、関東と関西をつなぐ地でありながら、自動車や工具、抹茶の生産、ウナギの養殖などものづくりが盛んな土地でもある。中心部である名古屋市の人口は約232万人。ECサイト構築やシステム関係に精通するエンジニアなどの人材が豊富で、楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー(SOY)を受賞するEC事業者もある。一方、名古屋市の南東に位置する三河や知多半島では、ものづくりが盛んで、西三河の西尾市は抹茶の生産量が日本で最も多い。こうした地域ではECも活発に行われている。

 愛知県では現在のところ、EC事業者に向けたセミナーなどは行っているが、継続的な支援はない。18年は6月と7月に、中部経済産業局が楽天やヤフーのEC担当者を呼んで、セミナーを実施した。セミナーの内容は、ECプラットフォームの最新情報や特商法などについて。セミナーを行った経緯について、中部経産局は「スタートアップ企業でECが業種の中で最も多かったため」と説明する。ただ、名古屋市役所は、「中小企業に対する助成金の交付は行っているが、ECに特化した支援は行っていない」としている。
 愛知県商工会連合会は昨年7月、越境ECを試みる事業者に対し、越境ECモール出店に係る費用の一部補助、専門家によるアドバイスの実施、特設サイトを活用したプロモーション、海外でのテストマーケティングイベントなどを行ったが、毎年継続して行ってはいないという。


■名古屋では交流が盛んに

 名古屋市内では、EC事業者同士が交流を図っている。モールの受賞店らによる、定期的な会合や交流会が独自に開催され、情報交流などが行われている。こうした事業者はECに必要なエンジニアなどの人材を確保し、活発にECを展開している。
 名古屋では、広告投資とSEOの対策など基本的な手法で販売を拡大している事業者が目立つ。


■地方では観光を活用

 三河などの地域では、地元の特産品を使った観光といった町おこしを活用する形で、ECの利用者を増やしている。観光バスツアーで店舗などに来店してもらい、その場で商品を試している。そうした観光客にECを利用してもらい、リピートにつなげている。
 ただ、名古屋以外ではEC事業者による交流はあまり活発ではないようだ。ノウハウを持った人材は名古屋市や関東、関西など都市部に流出しているという。

■掲載記事
・〈あいや(西条園)〉ECでのリピート5割以上/ミュージアムと店舗でEC集客
・〈兼光水産〉バスツアーで客をECへ/リピート率は4割超
・〈カイノス〉楽天で部門大賞/マキタ掃除機がヒット
・〈ロイヤル〉18年に楽天SOY8位/翻訳機の販売事業も開始
・〈JR東海〉地域の特産品を販売/動画を活用した販促も
・〈honu加藤珈琲店〉50カ国の珈琲豆を販売/13年連続で楽天SOY受賞

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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