ストライプインターナショナル(本社岡山県、石川康晴社長)は18年2月、ソフトバンクと共同でファッションECモール「ストライプデパートメント」を開設した。百貨店ブランドを中心に取り扱い、無料の試着サービスや、スタイリストがコーディネートを提案するスタイリングサービスなどを提供している。既存モールとの差別化策やサービスの利用状況、今後の展望についてストライプデパートメントの佐藤満専務取締役COO事業統括本部統括本部長に聞いた。
─「ストライプデパートメント(ストデパ)」の初年度の売り上げ目標は達成できそうか。
立ち上がりが出遅れたが、夏ぐらいから売り上げの伸びも加速していった。ウェブ集客において、立ち上がり当初から、どのようなメディアが合うのか、クリエーティブが良いのか、ABテストを続けている。当初は、「ストデパ」で買う理由をしっかり訴求できておらず、加えて、広告をターゲット層に訴求できていなかったため、CVR(コンバージョンレート)も低かった。ABテストで、CVRが高いメディアやクリエーティブが少しずつ分かってきた。
夏ごろからは、試着サービスやスタイリングサービスなどの打ち出しを強化し、ソフトバンクの力を借りてマスにプロモーションを展開した。キャンペーンを実施し、試着できるアイテム数を増やしたり、スタイリングサービスを紹介する記事広告を出稿したりした。
ターゲットとしている40代の顧客が増えただけでなく、エリアも広がっている。開設時は東京のお客さまが多かったものの、次第に大阪近郊や九州、札幌などのお客さまに利用していただけるようになった。比較的生活に余裕はあるが、近くで目当てのブランドを買える店が少ないお客さまに来ていただくことで、「ストデパ」の価値を感じていただけたと思う。
■幅広い品ぞろえ目指す
─取り扱いブランドをどのように拡大していく方針なのか。
マークジェイコブスやケイトスペードなど他のモールに出ていないブランドを取り扱うことができた。「ストデパ」に来る理由を品ぞろえでも作っていきたい。今後も注目度の高いブランドの取り扱いを増やしていく。
18年の秋ぐらいから「ビューティー」「ウェルネス」「リビング」の取り扱いを強化している。当社が目指しているのはオンライン上のデパートメントなので、ライフスタイルを提案できるアイテムはもっと増やしていきたい。ブランドとは当社の持つデータ基盤を共有し、効率的に販売したり、マーケティングにも貢献できるようにしたい。
─スタイリングサービスはどのように利用されているのか。
スタイリストとお客さまの関係性が深まっている。毎週のようにご相談に来てくださるお客さまもいる。現在は常駐が3人おり、外部も含めて10人態勢でスタイリングサービスの接客を実施している。人間味のある接客を心掛けているが、システムを駆使して効率化を図っていきたい。お客さまのアンケートに基づき、価格帯や傾向などからアイテムを絞り込み、そこからスタイリストが選別して提案している。
今後、ご提案して実際に購入された商品や、購入されたけど返品になってしまった商品などのデータがたまると、スタイリングで選ばれやすい商品の選別の精度が上がる。データを蓄積し、AIを駆使することで、スタイリストの仕事量を減らしたり、接客レベルを高められるようにしたい。
■リアル店舗との連携も
─今後、新たに取り組みたいサービスは。
将来的にスタイリストをランキング形式で紹介したり、得意分野などをお客さまに伝えて指名できるようにしたい。お客さまの満足度向上だけでなく、スタイリストのモチベーション向上にもつながると思う。
地方の百貨店などリアル店舗と連携したサービスも模索している。弊社の仕組みを活用してオンラインの利便性を提供しつつ、リアルでスタイリングを提供することなどが可能だ。顧客体験をネットとリアルで分断するのではなく、シームレスなサービスを提供できると考えている。まずはポップアップのような形でテストしていきたい。
【Eコマース業界地図 「ECモール&プラットフォーム編」】 〈インタビュー〉ストライプデパートメント 専務取締役COO事業統括本部統括本部長 佐藤満氏/「ここで買う理由」訴求し売上右肩上がり
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