「睡眠」と「テクノロジー」を組み合わせた「睡眠テック」ジャンルのECが大きな盛り上がりを見せている。コロナ禍をきっかけに、「睡眠の質を向上させたい」という需要が増加していることが背景にあるようだ。リカバリーウェアのECを運営するベネクスでは、21年3月期のEC売上高が前年同期比で2.3倍に伸びたという。脳の眠りをサポートする枕をECで販売するブレインスリープでは、21年3月期の売上高が計画比53%増になったとしており、22年3月期の売り上げ目標として50億円を掲げている。睡眠に関するデータマーケティングを行うニューロスペースでは「今後の睡眠市場は、パーソナライズされた商品のニーズが高まる」と分析している。「機能性+パーソナル」の特徴を持った商品がトレンドになりそうだ。
■在宅需要・給付金が市場を底上げ
ニューロスペース(本社東京都)によると、睡眠関連アイテムの市場が拡大している背景には、コロナ禍で在宅時間が増える中、「日々の睡眠の質を向上させたい」と考える消費者が増えていることがあるという。20年に政府から支給された特別定額給付金も、市場を底上げする要因になったと同社ではみている。給付金の使い道として、高単価な枕や布団、マットレスといった睡眠関連アイテムを選択する消費者が多かったのだという。
「枕や布団のECを運営する多くの企業にヒアリングしたところ、20年5~8月の間に、過去最高月商を記録したという企業が多かった」(ニューロスペース小林孝徳社長)と話す。
睡眠に関するウェブメディアの閲覧数が大幅に増加していることからも、睡眠関連アイテムの需要が高まっていることが分かる。睡眠関連の情報を集めたメディア「DO―GEN(ドーゲン)」では、21年3月度のサイトの月間閲覧数が、前年同月比で5倍以上増加し、250万PVとなったという。同サイトでは、コロナ禍に突入してから、睡眠や健康に関連した記事の投稿を意図的に増やしたため、ある程度のアクセス数の増加は想定していたというが、トラフィックの増加は、そうした事前の予想を大幅に上回るものだったという。お薦めの枕やリカバリーウェア、瞑想アプリなどの記事がよく読まれているとしている。
■月商1000万の回復ウェア
睡眠関連アイテムの中でも、機能性素材を織り込んだ衣類”リカバリーウェア”のECの伸び率が顕著に高い。
(続きは、「日本ネット経済新聞」5月13日号で)
〈睡眠テックEC〉 ウェア・枕など需要爆増/機能性+パーソナルが今後のトレンドに
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