店舗販売企業のEC売上高が拡大している。15年2月と3月に本決算、中間決算、第3四半期決算を迎えた企業の中で、EC売上高を公表した19社の約6割に当たる11社が2桁増収だった。売上高が数千億円規模の小売業者がEC事業を強化しており、EC業界における店舗販売企業の存在感は急速に高まっている。
年商100億超が続出
日本ネット経済新聞がEC売上高を調査した19社のうち増収は15社に上り、減収は4社にとどまった。
イトーヨーカ堂が手掛けるネットスーパーの年商は500億円に拡大。店舗ごとに1日の受注件数を拡大したほか、要望の多い日時への対応を強化したことなどから売り上げが伸びた。
ユナイテッドアローズなど大手アパレルメーカーは、ECの在庫を積み増すことで需要拡大に対応している。EC売上高を公表した6社全てが増収となるなど、国内アパレル市場には飽和感も漂う中でECの高い成長が目を引く。
店舗販売企業の多くは「オムニチャネル」に積極的だ。店舗とネットの顧客統合や在庫の一元化、店頭受け取りなどに取り組んでいる。
衣料品や雑貨などの製造販売を手掛けているアダストリアホールディングスは、ECサイト内で店頭スタッフに着こなしを相談できる機能を実装した。
ECサイトを単なる販売チャネルとは位置付けず、「店頭スタッフとお客さまがコミュニケーションできるサイト作りを目指した」(WEB営業部・田中順一シニアマネージャー)と言う。
減収だったコメリやビックカメラなどは消費増税前の駆け込み需要の反動で、店舗を含む全社売上高が減収となり、ECの売り上げも落ち込んだ。
ただ、コメリのEC売上高の約4割は店頭に設置された端末からの注文。前期は店頭端末からの注文が減ったものの、「純粋なネット通販は前年並み」(コメリ・経営企画室)だったことから、チャネル別では相対的にECが堅調のようだ。
(続きは日本ネット経済新聞 5月21日号で)
店舗企業のECが拡大/6割が2桁増収、存在感高まる
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