新型コロナウイルス感染拡大の影響で、楽器を販売するEC企業の増収が目立っている。長引く巣ごもり生活の中で、再び楽器を手にする人や、休校中に楽器演奏を始める学生が増えているためだ。ECサイトで楽器を購入するのに合わせ、教則本や楽譜を買うケースも多くなっているという。3~4月にかけて増収となっている中堅楽器EC企業3社の動向についてまとめた。
■楽譜や本の販売も好調
18年から3年連続で楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー(SOY)を受賞している楽器販売サイト「chuya―online(チューヤオンライン)」を運営するプラグイン(本社福岡県、高尾太郎社長)では、4月度のEC売り上げが前年同期比40%増となった。新型コロナウイルスの感染が本格化した1~3月のEC売り上げも平均して30%増だったという。
自宅で過ごす生活スタイルの広がりで、楽器を始める人が増えたとみている。3万円から購入できる初心者向けのエレキギターやキーボード、サイレント楽器の販売が伸長している。楽天市場やヤフーショッピングでの広告投資やポイント施策、送料無料キャンペーンにも引き続き取り組んでいる。
楽器だけでなく、価格が2000~3000円の初心者向けの教則本やバンドスコアの売れ行きもいいという。同社のEC売り上げのうち、楽譜などの周辺商材の売り上げは全体の1割程度だったが、1~3月は前年同時期に比べて約1.6倍、4月は2.6倍で推移している。
社長室PRの久保山哲室長は、「他社よりも楽器周辺の商品ラインアップを充実していたことが、功を奏している。今後もしばらくはECの楽器販売は増えると思う」と話す。
■休校中の学生が購入
楽天SOY2019を受賞したネットサイト「サクラ楽器」を運営するキョーリツコーポレーション(本社愛知県、鈴木伸一社長)も3~4月のEC売り上げが前年同期に比べて40%以上の増収となった。新型コロナウイルスの感染拡大が本格化した3~4月にかけて、いつもよりグーグルや楽天市場などへの広告投資を約1割増やして訴求を図った。
(続きは、「日本ネット経済新聞」5月28日号で)
【新型コロナ禍】 〈楽器販売事業者〉3―4月のEC売上が伸長/教本や楽譜の初心者需要も
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