自転車通販サイト「cyma(サイマ)」の運営を手掛けるエイチームは19年、物流施策を見直し、総在庫量を三分の一にまで削減した。顧客からの需要が低い商品を減らすことで、滞留在庫を十分の一にまで絞り、在庫回転率を高めた。物流基盤を強化して、EC事業のさらなる拡大を目指す。
「サイマ」では自転車の整備や組み立て、出荷業務を専任の整備士が行う。岐阜、東京、神戸の三カ所に物流拠点を持ち、オペレーションの改善に努めている。
売れ行きの芳しくない商品の保管スペースを絞り、回転率の高い商品を置くことが可能になった。試験的に新商品を仕入れ、販売できる体制も構築した。
「約半年前からEC事業の再整備に向け、物流面での立て直しを行っている。より良いサービスにするためにここを変えないと一段階上のステップに上がることができないと判断した」(望月一宏執行役員EC事業本部長)。
エイチームの19年8―10月期(第1四半期)におけるEC売上高は、前年同期比24.8%増の6億3700万円、営業損失は5000万円だった。物流面の見直しなどが奏功し、赤字幅は縮小傾向にある。
「ECの利点は豊富な種類の中から商品を選べることだと思う。ここに実店舗を超える価値があるはず」(同)。自転車の小売業界は、注文が入った後にメーカーへの問い合わせや仕入れを行う独特の商習慣がある。
「サイマ」では在庫を持たずに店頭へ商品を並べることをやめた。現在は顧客が求める商品やサービスの検証に力を入れた運営に取り組んでいる。
従来自社ECサイトのみの運営だったが、19年からは「楽天市場」と「PayPay(ペイペイ)モール」への出店も開始。顧客接点を増やしている。
エイチーム/物流施策を見直し/在庫総数を3分の1に削減
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