【有識者に聞く! 2020年のEC市場展望】 モールの新競争時代到来

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 本紙は有力なEC事業者や著名なECコンサルタント、マーケッターに2020年のEC市場展望について、テーマ別に見解を聞いた。19年は大手ECモールの新施策やM&Aなど動きが活発だったこともあり、「モール対策」をテーマにEC市場展望を語る有識者が多かった。楽天、アマゾン、ヤフーといった三大モールの新たな競争の行方は、EC事業者の将来に大きな影響を与えるだろう。

 ECモールの動向で大きなインパクトがあったのは、ヤフーを傘下に持つZホールディングスの大型M&Aと、楽天の「共通の送料無料ライン」導入の発表だった。両者の取り組みは、アマゾンへの対抗策と言えるだろう。
 アマゾンジャパンは、デリバリープロバイダに加え、個人の配送事業者を組織化し、大手宅配事業者に依存しない配送網を構築している。現在のEC事業の最大のネックである配送で優位性を維持するアマゾンは、20年も強さを発揮するだろう。


■キャンペーン後が勝負

 Zホールディングスは、ZOZOの子会社化を完了したが、まだ買収による影響は見えてこない。ヤフーの取り組みですでに成果を出しているのが「PayPay(ペイペイ)モール」だ。
 19年11月からの「100億円あげちゃうキャンペーン」が奏功し、「PayPayモール」の流通額は一気に伸びたようだ。キャンペーンは20年3月まで延長したが、キャンペーン後に当初のコンセプトである「プレミアムモール」から、出店有料の「ただのモール」にならないかが勝負の分かれ目だ。


■改革断行できるか

 楽天の「共通の送料無料ライン」の導入などの取り組みは、ユーザーから見て分かりやすくするため、サービスを統一化する戦略の一環だ。店舗からさまざまな意見が出ることも承知で改革を断行している。
 楽天は全国47都道府県で「タウンミーティング」を実施し、店舗との対話を強化している。もともと、店舗との強い関係性が楽天の強みだった。今一度、関係性を強化し、新たな変化を乗り切ろうとしている。
 とは言え改革は血が流れるものだ。一部の離反があっても、店舗が最後まで楽天についていくのであれば、新たな世界の扉は開くだろう。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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