化粧品を通販などで販売する各社が、海外越境ECの販路を開拓し売り上げ拡大につなげている。アテニアは、テスト期間を経て今年4月から越境ECを本格化。立ち上がりは好調で、当初予想の2倍を上回る売り上げペースとなっている。新日本製薬は、中国のKOL(中国のSNSで影響力を持つ人)を日本の本社に招くなど、ブランド認知向上を図っている。サプリメント事業で越境ECを行っているファンケルは、中国国内での本格的な「保健食品」の販売の布石とする考えだ。
■【アテニア】 好調な出足みせる/2倍以上の売れ行き
ファンケルの子会社で化粧品メーカーのアテニア(本社神奈川県、斎藤智子社長)は、テスト期間を経て19年4月から越境ECを展開している。立ち上がりは好調な模様で、10月上旬現在、当初の見込みよりも2倍を上回る売り上げで推移している。商品の機能性や使い心地に満足した顧客がSNSで情報発信したり、リピーターになっていることが人気を広げているようだ。
インバウンド需要の高まりを背景に越境ECに進出した。18年10月から19年3月までテストマーケティングを実施したところ、計画を1・5倍上回る販売実績を得られたことから、本格的な事業スタートに至った。現在、「天猫国際(Tモールグローバル)」に旗艦店を出店している。
すでに中国越境ECモールで販売を行っている親会社のファンケルとは分けた形で、アテニアは独自で出店している。親会社とそれぞれで新規顧客を獲得し、グループ全体の顧客拡大を図る。
認知拡大のための先行投資として、広告出稿も行っている。中国では最大級規模といわれるセール「ダブルイレブン(独身の日)」に商品の需要が高まると判断、10月は特に出稿量を増やしているという。
「天猫国際」では、現在32品目を販売展開。クレンジングオイルが人気で、売り上げの半数以上を占めている。高い機能性や香りがKOLから注目され、人気を押し上げた。
現地への商品配送は、日本国内の協力会社が担っている。日本の国内倉庫から「天猫国際」が指定する倉庫に輸送している。
アテニアは、10年から中国の数店舗で販売を行ってきた。当時、赴任していた主要メンバーの一人が現在の斎藤社長だった。諸事情により14年までに全て撤退。ただ、当時の中国の店販の経験によって、リアルな消費者の感覚をつかんだという。現在も商品開発や販促などにその実績は生かされている。
今後は、中国人向けの限定商品など、現地のニーズを捉えた商品開発も視野に入れている。
アテニアは近く、越境ECモール「網易考拉海購(Kaola)」にも出店を予定している。中国版口コミサイトの「小紅書(Red)」にも10月中に出店していく。
■【新日本製薬】 中国越境EC順調/認知拡大が奏功
新日本製薬は、化粧品ブランド「パーフェクトワン」から約30品目を越境ECで展開している。
(続きは、「日本ネット経済新聞」10月17日号で)
〈化粧品会社の越境EC〉 売上拡大、現地ブランド認知進む/中国国内ECや店販見据え
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