ヤフーは9月12日付でZOZO(ゾゾ)の代表取締役を退任した前澤友作氏から株式を取得するとともに、株式公開買い付け(TOB)により、全株式の50.1%の取得を目指す。株式取得にかかる費用は約4000億円の見通し。ヤフーの川邊健太郎社長は、買収効果を発揮するためには四つのポイントがあるという。特に「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」とスマホ決済「PayPay(ペイペイ)」との連携が肝となる。
■ペイペイモール出店
一つ目のポイントは、「ゾゾタウン」の「PayPay(ペイペイ)モール」出店だ。今秋からヤフーがヤフーやソフトバンクユーザー向けに開設するプレミアモール「ペイペイモール」に、「ゾゾタウン」が出店することで新規顧客の獲得が期待できるという。「ゾゾタウン」が他モールに出店するのは初めて。
「今後、『ゾゾタウン』に出ているブランドに『ペイペイモール』の魅力を説明させていただき、ブランドの意思で「ペイペイモール」の「ゾゾタウン店」に入っていただく。かなうのなら全ブランド全ショップにご出店いただきたい」(川邊社長)と話す
■相互送客で顧客拡大
ヤフーは「ヤフー」の関連サービスと「ゾゾタウン」の相互送客を強化することで、それぞれのユーザー数が急増すると見ている。
「ヤフーとゾゾはユーザー属性が補完的だ。『ゾゾタウン』に『ヤフー』から30~40代の男性を送客し、『ゾゾタウン』からは若いユーザーを『ヤフー』に紹介できる。両社の顧客基盤の拡大が見込める」(同)と分析する。
■取扱高拡大ノウハウ
ヤフーは相互送客だけでなく、流通総額の急拡大も見込めるという。
「ヤフーが以前、買収した宿泊予約の『一休.com(ドットコム)』が大変伸びている。合算した取扱高は、4年で2倍近く拡大した。『ヤフートラベル』と相互送客したり、商品を一本化したりしたことで、両サービスとも取扱高が伸びた。このノウハウをゾゾとの取り組みにも注入したい」(同)と意気込む。
■営業利益も拡大
今回の買収で営業利益の拡大も見込めるという。
「ゾゾはだいたい200億~300億円の営業利益を上げているが、両社のシナジーを効かせれば300億~400億円の営業利益が見込める。シナジーが発揮できなくてもヤフーとゾゾの営業利益を合算すると、ヤフーの前年のEC事業の営業利益の1.8倍の規模となる。ヤフーはこれまで、収益面で広告の一本足打法と見られていたが、これからは広告とECの2本柱となる」(同)と説明する。
さらにヤフーは今後、「ゾゾタウン」に「ペイペイ」を導入したり、技術開発で協力したりすることにより、シナジー効果を発揮できると見ている。
【ヤフーがZOZO買収】 買収効果生む4ポイント/「PayPay」との連携が肝
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