ヤフーがアスクルの社長再任に反対し、経営闘争が生じている問題において、対立が長期化する可能性が高まっている。アスクルは7月26日、ヤフーに対しアスクル株式の売渡請求を審議するための取締役会を8月1日に開催すると発表した。アスクルはヤフーとの業務・資本提携における契約違反に基づき、売渡請求を行使する構えだが、ヤフーは契約違反を否定している。今回の問題を左右する売渡請求を巡る対立は、法廷に持ち込まれる可能性もある。
ヤフーとプラスは7月24日、8月2日の定時株主総会に先立ち、インターネット経由でアスクルの岩田彰一郎社長の再任に反対する議決権を行使したと発表した。岩田社長の任命責任を問うために指名・報酬委員会の委員でもある社外取締役の戸田一雄氏、宮田秀明氏、斉藤惇氏の再任にも反対の議決権行使を行ったという。
ヤフーはアスクルの株式を約45%保有しており、プラスはアスクルの株式を約11%保有している。過半数の株主が反対しているため、このままいけば定時株主総会で岩田社長は再任されず、社長の座から退くことになる。
■法廷闘争持ち込むか
アスクルは切り札ともいえる売渡請求を行使する構えだ。
7月18日に実施した記者会見では「売渡請求も選択肢としてあるが、まずはヤフーと業務・資本提携の解消に向けて話し合いの場を持ちたい」(岩田社長)と話していた。ただ、ヤフーはアスクルの要請に対して「協議には応じない」と発表した。
アスクルはすでに国内事業会社、国内外ファンドなど株式の売り渡し先候補と交渉しているという。
8月1日の取締役会では、アスクルの執行部側を支持する取締役が過半数を占めているため、売渡請求は行使が決議される見通しだ。
一方、ヤフーは売渡請求が行使された場合、徹底的に抵抗するだろう。業務・資本提携契約違反の事実がないことを説明し、売渡請求は行使できないと主張すると見られている。ヤフーとアスクルの主張は平行線をたどっているため、最終的には司法の判断を仰ぐ形になりそうだ。
法廷闘争になれば決着まで長期化する恐れがあり、アスクルの事業運営にもマイナスの影響が出る可能性は大きい。
【〈ヤフー×アスクル〉経営闘争】 対立は長期化か/アスクルが売渡請求を行使
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