【〈楽天市場492店に聞く〉「送料無料ライン統一化」】 33%が”反対”も47%は”流通総額拡大”見込む

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【〈楽天市場492店に聞く〉「送料無料ライン統一化」】 33%が”反対”も47%は”流通総額拡大”見込む

 楽天が1月31日に発表した「楽天市場」の送料無料ラインを統一化する施策は、出店者に大きな衝撃を与えた。本紙は楽天出店者が1000店以上加盟している有料会員サービス「ECマスターズクラブ」と共同で、「送料無料ライン統一化」への意識調査(492店舗が協力。質問によって回答数は異なる)を実施。回答者の33・3%が反対の声を上げ、新施策が実施されると「利益の減少」を懸念する意見が多かった。ただ、回答者の47・6%は「送料無料ラインが統一化されると流通総額は伸びると思う」と答えた。

 楽天が発表した新施策「ONE TARIFF(ワン・タリフ)」は、「〇〇円以上で送料無料」という送料規定を全店で統一する取り組み。
 送料を無料にする購入金額のラインについては今後、出店者の声を聞いた上で年内に決める計画だ。
 「ワン・タリフ」では冷蔵・冷凍や大型サイズの商品、配送先が離島である場合は、対象外とする予定だ。
 送料規定が統一化されれば利用者の利便性が高まるのは間違いない。
 ただ、出店者にとっては送料無料ラインがどう設定されるかによって経営に大きな影響を及ぼす可能性がある。

■高めの設定希望
 回答者の17.7%が新施策に賛成したのに対し、反対は33.3%だった。ただ、具体的なサービス内容が決まっていないこともあり、「どちらともいえない」という回答が最も多く、49.0%に達した。
 出店者が一番気にしている「送料無料ライン」がいくらになるのかという点について、回答内容で一番多かったのは、回答欄で設定した最大金額である「6000円以上」だった。
 「送料無料ライン」が低く設定されると、出店者の持ち出しによる送料負担が増えることを懸念しているようだ。

■57%が減益懸念
 出店者が新施策により、懸念している点は、「利益の減少」だった。回答者の56.9%が「利益の減少を懸念している」と答えた。
 回答者の25.3%は「差別化がしにくくなる」と指摘。これまで送料で競合企業と差別化していた会社は、統一化されることで武器を奪われることを懸念しているようだ。
 新施策によって楽天市場の流通総額拡大を期待する声は多い。回答者の47.6%は新施策で流通総額が「伸びると思う」と答えた。
 消費者にとってはいい施策だと考えており、自店の売り上げ拡大を期待する意見も多かった。

【「送料無料ライン統一化」に寄せられた声】 設定いかんで変わる店舗の対応

 楽天市場の「送料無料ライン統一化」に対するアンケートにおいて、自由記述式の回答欄を設けた。そこに寄せられた店舗の意見は切実だ。
 反対意見の多くは、「コスト増(利益減少)への懸念」「差別化がしにくくなることへの懸念」だった。自由度の高い売り場だった楽天市場の魅力が薄れるといった声もあった。サービスの仕様変更が相次いでいることへの不満も聞かれた。
 賛成意見の多くは、顧客目線で今回の施策をポジティブに捉えたものだった。「ルールが統一されることで正々堂々と勝負できる」といった意見もあった。「自社にとっては不利な施策だが、楽天市場の成長においてはやるべきだ」といった回答もあった。
 「どちらともいえない」という意見の中には、「送料無料ラインがまだ見えないので何ともいえない」という声が多数上がった。「自社で現在、設定している『送料無料ライン』を下回らなければ問題ない」という意見も多かった。
 楽天は今後、店舗と意見交換を行う「タウンミーティング」などを通して、新施策の説明を重ねるとともに、店舗の意見を吸い上げ、今後のサービス変更の参考にするという。
 今回の意識調査では、まだ楽天が店舗への十分な説明を行う前の段階だったため、”変化”をネガティブに捉える意見が多く上がった。今後、楽天が説明し尽くした後に店舗がこの施策をどう捉えるのか、改めて聞いてみたい。

(具体的な意見は日本ネット経済新聞2月28日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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