厚生労働省/課徴金制度導入を了承/国と都道府県の両方に権限を付与へ

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薬機法改正を議論する医薬品医療機器制度部会

薬機法改正を議論する医薬品医療機器制度部会

 厚生労働省は11月22日、医薬品医療機器等法(薬機法)の改正に向けた議論を進める医薬品医療機器制度部会(森田朗部会長)の第9回会合を開催、医薬品などの虚偽・誇大広告によって不正に利得を得た当事者に対して、課徴金を課す方針を了承した。課徴金の納付命令の実施主体として、国と都道府県の双方に権限を付与することも方針の中に盛り込まれた。
 近年、医薬品等に関する虚偽・誇大広告や、未承認の医薬品等の広告の薬機法違反が散見されていることから、薬機法への課徴金制度導入に向けた積極的な意見交換が同部会ではなされてきた。
 同部会では、医薬品について議論されることが多かったため、課徴金導入の一義的なターゲットは医薬品といえる。ただ、薬機法に詳しい弁護士は、「医薬品だけを課徴金の対象とするのは現実的でない」(丸の内ソレイユ法律事務所 成眞海弁護士)と話しており、医薬部外品や化粧品も対象になるとみられている。健康食品も、医薬品的効能効果を訴求する場合は、無承認無許可医薬品として課徴金の対象とされそうだ。
 第9回会合では委員から、「現行の業務停止命令という罰則はほとんど実効性がない。課徴金を盛り込むことによって、事業者にとってかなりの足かせとなる。大賛成だ」(山口育子委員)といった賛成意見が多く出され、反対意見は皆無だった。
 厚生労働省では、課徴金制度の具体的な方向性として、(1)課徴金の額の算定については、違法行為の対象となった製品の売上額に一定の算定率を乗じるとともに、対象となる医薬品等の業種の利益率も勘案して定める(2)納付命令の主体については、国と都道府県の双方に権限を付与する(3)課徴金と同時に、訂正広告等を命じる措置命令を導入する─の三つを挙げている。
 同制度部会は、会合で了承した内容を、年内に報告書としてとりまとめる方針。厚生労働省は早ければ年明けにも法案をまとめ、19年通常国会に提出する予定だとしている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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