【楽天SOY受賞店舗 概要調査】 平均CVRは4.9%/送料無料やギフトで高水準

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 「日本ネット経済新聞」はこのほど、「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー(SOY)2017」の受賞店舗を調査した。ECモールの優良店を分析するためだ。それによると、コンバージョン率(CVR)は有効回答10社の平均が4.9%だった。全品送料無料を実施する店舗や、ギフト向け商材を扱う店舗で高水準だった。受賞店舗運営会社のEC全体における平均売上総利益率は36.7%となっている。

■ギフトに強い楽天

 CVRが10.0%と最も高かったのは、ギターなど楽器や関連商品を販売する「chuya—online(チューヤオンライン)」だった。購入金額にかかわらず全品について送料無料を実施している。
 商品画像には「全国どこでも送料無料」と記載した枠を付けている。約2年前から画像に枠を付ける商品数を増やしている。
 「2月のアクセス数は通常月より2000アクセス増えた。枠付きの商品画像を増やしている効果が徐々に表れている」(社長室・久保山哲室長)と分析する。
 カステラを専門に販売する「カステラ専門店【長崎心泉堂】」と、胡蝶蘭など洋ランを販売する「森水木のラン屋さん」のCVRもそれぞれ8.0%、6.0%と高水準だ。
 長崎カステラセンター心泉堂の中島潤一社長は「『楽天市場』は『母の日』などギフト商戦のピーク時に他のモールよりもよく売れる」と話す。


■「ワウマ」の影響も

 スマホからの注文による売上比率(スマホ比率)についても聞いた。有効回答企業中、3分の1の店舗が「楽天市場」を含む運営ECサイトのスマホ比率が70%以上と回答した(図参照)。
 日用品やインテリアなどを販売するガリバーでは、およそ2年前に50%未満だったスマホ比率が68.5%まで上昇した。「商品画像に説明を入れている。顧客は画像をスクロールするだけで商品について知ることができる」(セールスアドミン部門)と、スマホ利用者向けに商品の見せ方を工夫している。
 ベビー・マタニティー用品を販売する西松屋チェーンの17年度におけるスマホ比率は80%となっている。「楽天市場」のほか、出店しているECモール「Wowma!(ワウマ)」を利用するauユーザーの増加により比率が上昇した。
 西松屋チェーンでは「スマホ向けの検索方法や、商品カテゴリーの見せ方を検討している」(インターネット販売部)と対応について話す。


■5割が海外展開

 楽天を通じて海外向け販売を行っていると回答した店舗は、21店舗中11店舗だった。主に「楽天市場」の海外販売サービス「楽天グローバルマーケット」を利用している。海外販売で人気の国として中国を挙げる店舗が多い。
 中古ゴルフクラブを販売するゴルフパートナーでは、海外販売による月間売り上げが1000万円に達する月もある。20万点を超える商品データの見直しなどSEO対策による効果が表れている。
 海外販売については「売り上げが格段に上がったとは言えない。海外発送は週に10件程度。『楽天グローバルマーケット』で並行輸入品が出回っている」(ユーコンスカイ・バイヤー)との指摘もある。
 回答のあった受賞店のうち、8店が「楽天市場」内で複数店舗を運営している。運営店舗数が最も多かったのは、スポーツ・アウトドア用品を取り扱うヒマラヤスポーツの16店舗で、そのうち7店舗が「楽天市場」の店舗となっている。
 ヒマラヤスポーツは、各店舗を「アウトドア専門店」「ランニング専門店」など特定の商品に特化したサイトに仕立てている。3240円以上の購入で、離島を含む沖縄県内への送料が無料になる「沖縄ヒマラヤ楽天市場店」も運営している。
 「『楽天市場』の本店を掘り下げて専門店化することで、ニッチな商品を訴求しやすくなっている」(販売チャネル統括部)と言う。


■ヤマト・JP増加

 楽天SOY受賞店の調査結果には、配送業者の利用状況における変化も表れている。回答店舗における利用比率は、ヤマト運輸、日本郵便がともに76.2%、佐川急便が42.9%だった(複数企業併用を含む)。前回調査ではヤマト運輸の利用率が69.6%、日本郵便は60.6%、佐川急便は57.6%だった。
 物流業務の一部を外部に委託していると回答した店舗はおよそ4分の1だった。
 西松屋チェーンは、倉庫内作業を日本通運に委託し、速い配送スピードを実現している。「楽天市場」の翌日配達サービス「あす楽」の対象となる商品は粉ミルクなど消耗品が100品目。
 「物流の外部委託により安定した配送サービスが提供できる」(インターネット販売部)と話す。

「chuya-online」では枠付きの商品画像がCVR改善やアクセス数の増加に貢献している

「chuya-online」では枠付きの商品画像がCVR改善やアクセス数の増加に貢献している

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ