FID 〈売れるネットと和解〉/双方の見解に大きな隔たり

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 リピート通販支援システムを提供するFID(本社東京都、和田聖翔社長、(電)03—6911—3800)は4月24日、売れるネット広告社(本社福岡県、加藤公一レオ社長、(電)092—834—5520)との訴訟において和解したと発表した。売れるネット広告社は昨年5月、FIDが提供するASPカート「侍カート」について商標権侵害の差し止めなどを求め、福岡地裁に提訴していた。和解したものの両社の見解には、大きな隔たりが生じている。
 売れるネット広告社は、ECサイトの申し込み確認画面で追加購入や、より高単価の商品購入を促す機能「確認画面でアップセル」を、FIDが「侍カート」のサービス概要や仕様説明で無断掲載していたとして提訴した。
 他にも「侍カート」を導入したECサイトのデザインに関して著作権侵害があることや、これらの行為が不正競争防止法違反に当たると訴えていた。
 FIDは「確認画面でアップセル」という文言を「侍カート」の使用説明において記載しただけであり、商標権侵害には当たらないと主張。さらに著作権侵害においても、ECサイトのデザインにおける著作権は、サイト運営企業に属するもので、FIDに訴えを起こすこと自体が論外であると主張した。不正競争防止法違反の事実もないと反論していた。
 和解条項には「原告(売れるネット広告社)は、本件請求に係る商標権侵害、著作権侵害、不正競争防止法違反の各行為が被告(FID)になかった事実を認める」などと記載されている(表参照)。
 FIDの和田社長は、「当社に商標権侵害や著作権侵害、不正競争防止法違反の事実がなかったことを認めてもらえたので和解に応じた」と説明する。
 売れるネット広告社は、FIDが訴えに応じて「侍カート」の説明画面の文言を修正したり、「侍カート」を用いて制作されたECサイトのデザインが変更されたことを受けて、「勝利した」と判断し、和解に応じたという。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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