総務省は18年4月以降、個人情報をビジネスに活用しやすくするための具体的な仕組み作りに乗り出す。通販企業の持つ購買情報なども対象。個人情報を預かって運用する事業者の公募を行い、試験事業として運用することで、必要な課題を洗い出す。総務省は、民間事業者による個人データの運用のための予算として、18年度の概算要求に4億1000万円を盛り込んだ。
ビジネスに個人データを活用する仕組みとして、内閣府で「情報銀行」に関する検討が進められている。「情報銀行」とは、民間事業者が個人のデータを一括管理する仕組み。個人の同意が得られた場合に、事業者間で個人情報のやり取りができるようにする。個人は、自らの個人情報に基づき、より自身の属性や嗜好に合ったサービス提供を受けれられるようになる可能性がある。
総務省では、実際に民間企業が「情報銀行」の事業を行う際のルール作りを行う。民間団体による任意の認定制度の設置や、「緩やかな立法措置」(総務省情報通信政策課)なども行っていく。
総務省情報通信審議会の基本戦略WG(ワーキンググループ)は、17年7月、「データ取引市場等に関する取りまとめ」の答申を行った。
その中で、消費者が自らの意思で、個人情報を特定の事業者に預けたり活用したりする「情報銀行」ついて、必要なルール作りを提言していた。
「情報銀行」の事業を行うことができる「一定の要件を満たした事業者」に関するルールについて、(1)「一定の要件を満たした事業者」については、第三者機関による認定や公表など、客観的な基準を設ける(2)国が「一定の要件を満たした事業者」を認定・公表し、信頼性を確保する(3)個人情報保護法の運用を考慮しつつ、民間企業による実証実験を行うーーーといった内容が盛り込まれた。
総務省は答申の内容を踏まえ18年4月以降、「情報銀行」の事業者の公募を開始し、具体的な制度を構築するための事実関係を積み上げていくとしている。ネット通販の購買情報の他、農業・防災・観光などいくつかの分野で、実証実験を行っていく予定だとしている。
総務省/個人情報活用の仕組み作りに着手/通販企業の持つ購買情報も対象に/18年度概算要求に4億円盛り込む
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