クレジットカード以外の決済手段を充実させるEC事業者が増えている。キャラクターグッズやCDを取り扱うキャラアニは11月25日、自社サイトを携帯電話料金と合算して支払えるキャリア決済に対応させた。主にスマートフォン(スマホ)からサイトを利用する若年層の利用を見込む。DVDなどのECや動画配信を行うDMM・comは、今年1月からコンビニで電子マネーの販売を始めた。カード情報などの登録を行わない顧客から利用されているという。ECの決済では依然、カード決済が主流となっている。しかし、クレジットカードを所持していない若年層への対応や個人情報を登録したくないという利用者のニーズに配慮。カード決済が取りこぼした潜在顧客層のサイト利用を促す考えだ。
所持しない層を取り込む
キャラアニ(本社東京都、田村明史社長)のキャリア決済対応は、主要顧客である10~20代の若年層の要望に応えたためという。スマホ利用で決済に必要な認証の手間を省くことや、クレジットカードを所持していない層のサイト利用を促進する考えだ。
キャリア決済については、決済代行会社からもEC事業者の対応が進んでいるとの指摘がある。決済代行のソフトバンク・ペイメント・サービス(本社東京都、今井康之社長)によると、現在約4万サイトでキャリア決済が導入されたことを明らかにしている。
取引額も向上しているようで、カード決済のコンサルティングや調査を手掛けるTIプランニング(本社東京都、池谷貴社長)の調査では「決済による売り上げが13年の実績で前年比30%成長したキャリアもある」(池谷社長)と話す。
キャリア決済にかかる手数料は5~10%程度で、カード決済に比べると料率はやや高い。しかし、クレジットカードを持ってない10~20代の顧客層を取り込みたい事業者が導入を進めているようだ。
キャリアによっては40代以上の利用率が30%を占めるという調査結果もある。EC事業者は幅広い年齢層を対象に、カード決済を敬遠していた潜在顧客の取り込みを期待している。
若年層の場合、個人でクレジットカードを申し込めない10代のほか、20代のカード保有率が他の年齢層と比べ低い水準にあるのも事実。
カード会社のジェーシービー(本社東京都、浜川一郎社長)は毎年2月、クレジットカード保有・利用の調査結果を発表している。今年発表された年齢別のカード保有率は、20代が男女ともに70%台で、保有率が85~93%に達する他の年齢層と比べ、際立って低い結果が出ている。
若年層におけるカード保有率の低下は10年の調査から続いている。同年に改正された割賦販売法で、カード利用者の1年間における支払い可能見込額がクレジットカードの審査基準に加わるなど、カードを所持することが難しくなったことが背景にあるという。
(続きは本紙12月11日号で)
〈EC事業者の決済方法〉カード以外を充実化/個人情報保護や若年層に配慮
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