アマゾンジャパンは5月19日、アマゾンに出品している販売事業者向けのイベント「セラーカンファレンス」を都内で開催し、約600人が参集した。今年1―3月期において、全世界のアマゾンで販売事業者による商品出荷数が初めて5割を超えたと発表した。有料会員制度「Amazonプライム」の特典を拡充し、会員数と会員のロイヤルティーが向上。これに伴い、プライム会員にメリットのある配送支援サービスで販売事業者の成長を後押しできると強調した。
■今期は1400億ドル規模へ
セラーカンファレンスでは冒頭、ジャスパー・チャン社長が登壇した。4月下旬から報道されている詐欺被害について触れ、「不正を行う販売事業者からマーケットプレイスを守り、販売事業者と購入者の信頼を維持するために対応を強化していく」と話した。
また、新たな人事体制を発表した。14年から約3年間、国内の出品ビジネスを指揮してきた星健一セラーサービス事業本部長が3月に新規ビジネスの事業部に異動。星氏に代わって米国や欧州にて出品ビジネスの経験があるジヤ・ゲンチェレン氏がセラーサービス事業本部長に就任したと報告し、ゲンチェレン氏を紹介した。
基調講演には米国アマゾンのインターナショナルセラーサービスに所属するエリック・ブルーサードバイスプレジデントが登壇した。
講演では、米国アマゾンの17年1―3月期の連結売上高は順調に推移しており、このペースでいくと前期(16年12月期)の売上高1359億8700万ドルから、今期は1426億ドル相当になるとした。また、16年は年商10万ドル以上の販売事業者が前年比約3割増の10万社を超えたと報告。世界で販売事業者の売り上げが拡大している状況を示した。
現在、アマゾンは12カ国でマーケットプレイスを展開。物流代行サービス「フルフィルメント・バイ・Amazon(FBA)」のセンターは125拠点を有する。FBAの出荷数は米国以外のエリアで16年は前年比80%超の伸び率だった。
今回のセラーカンファレンスのテーマは「Grow Your Business with Amazon Prime~アマゾンプライムとともに~」。販売事業者の売り上げ拡大にはプライム会員向けのサービスに参画することが重要だと訴えた。
プライム対象商品の「お急ぎ便」が送料無料となるサービスや、映画や海外ドラマなどが見放題の「プライム・ビデオ」など多数の特典を展開しており、会員数は年々増加。プライムプログラムは11カ国で実施しており、会員数は数千万人規模に達しているという。
基調講演では、14年から米国でプライム会員向けに提供している、音声認識で操作する人工知能搭載デバイス「アマゾン・エコー」や、英国のごく一部のエリアで運用している30分以内のドローン配送「プライムエアー」の事例を紹介した。
「アマゾン・エコー」は声による指示だけで電気やエアコンの電源を付けたり、音楽の再生、デリバリーの注文などさまざまな要望に対応する。今月、画面付きの「アマゾン・エコー」を米国で発表。プライム会員向けの商品の進化は続いていると強調した。
(続きは、「日本ネット経済新聞」5月25日号)
アマゾン/セラーの出荷数、直販を抜く/プライム特典への参画が成長後押し
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