【転換期に突入か!? <住設・建材ECの最新動向>】 値上げや市場変化が引き金/新事業と配送強化が次の成長に(2024年9月12日号)

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 住設・建材EC業界が大きな転換期を迎えるか。コロナ以降から現在も続く製品の値上げや、新築住宅着工戸数の減少を受け、リノベーションやリフォーム市場への移行が引き金になっている。BtoCとBtoBの双方において、戦略や体制を見直す必要性が出てきた。値上げは、通販・ECの強みである価格戦略に影響しているのと同時に業績にも直結。住設EC大手のライフワン(本社東京都)は今期売上10%減の見通しを示す。住設・建材EC大手のサンワカンパニーは中古住宅向けの開拓に注力していく動きも見せている。住設・建材ECではBtoC企業のBtoB進出が目立ち、BtoB領域は新築以外のリノベーションやリフォーム市場の開拓が進むなど状況が変わりそうだ。

■価格とマーケ戦略の二強

 住設・建材ECの販売手法は、物販だけを行うものと、物販と施工をセットにした販売の2種類がある。値上げが続く中で、住設ECは無店舗販売による低価格戦略のメリットを打ち出している。
 この低価格戦略が「仕入れ」で大きく左右されている。値上げの対抗策は製品の調達が鍵を握る。仕入先や発注量などが違うだけで、調達コストに差が出て、最終的に販売価格に影響している。
 コロナ以降に始まった製品の値上げは各社の業績を左右している。
 同じナショナルブランド(NB)の設備機器を販売していても各社で価格に差が出ているのは、調達ボリュームが要因になっているようだ。
 住設EC企業の中には低価格で提供する競合に対して「どうやったらあの価格で出せるのか」と声が漏れる。企業間で価格差が開いている状況だ。
 こうした状況を考えると、値上げに対抗できる売り上げと資金を持つ大手企業の堅調な成長が予想される。一方で、調達が滞ると価格戦略で負けてしまう企業も出てきた。
 さらに、価格戦略に特化しすぎると、利益率が減り、高騰する物流費などを吸収できず、経営を圧迫しまう可能性もある。
 施工と商品のセット販売の場合は、様子が少し異なるようだ。
 施工があることで収支構造が異なり、サービス面で差別化を図ることができるためだ。
 住設ECサイト「住設ドットコム」を運営する永野設備工業(本社大阪府)は、サービスや工事の質で強みを押し出し、価格競争だけでないサービス提供で売り上げを確保している。

(続きは、「日本ネット経済新聞」9月12日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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