【ナンバーワン表示規制進む】消費者庁による実態調査も始動(2024年8月8日・15日合併号)

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リーガルエックス 代表取締役 関山翔太氏

リーガルエックス 代表取締役 関山翔太氏

 ナンバーワン表示への規制強化が進んでいる。2023年度(23年4月~24年3月)は、景表法に基づく、ナンバーワン表示の処分が多く見られた。専門家からは、「今回ほどナンバーワン表示が処分された年度はなかった」「規制意図がしっかり表れたとも言える」と指摘する声が上がっている。消費者庁はナンバーワン表示の実態調査にも乗り出している。

■措置命令の約3割

 「ナンバーワン表示に対する規制強化が進んでいる」と、D2C・単品通販における薬事コンサルティングを行うリーガルエックス(本社東京都)の関山翔太社長は指摘する。
 「23年度の景表法の措置命令44件のうち、約3割の13件が『ナンバーワン表示』に対するものだった。ナンバーワン表示に対する規制強化だ。以前から、偽りのナンバーワン表示に対する処分は行われてきたが、今回ほどナンバーワン表示が処分された年度はなかった」(関山氏)と言う。
 23年度に処分対象となった事例の多くは、事業者のウェブサイトのリンクを列挙して、商品やサービスの”イメージ”を尋ねた調査の結果を基に、「満足度No.1」と表示するといったものだった。
 「実際に商品や、類似の商品を体験した者に限定することなく、単にウェブサイトの印象を問うイメージ調査のようなものだった。そのような、決して公平・公正な方法とは言えない方法で調査したナンバーワン表示が横行していることは看過できない問題だ。23年度のナンバーワン表示に対する措置命令には、そうした規制意図がしっかり表れていたとも言える」と話す。


■利用確認なしはNG

 具体的には、どのような表現が処分の対象とされたのだろうか。より詳細に見てみよう。景表法に詳しい薬事法広告研究所の稲留万希子氏は、「これまでのナンバーワン表示の処分案件では、『日本初』『顧客満足度 No.1』『どこよりも安い』『〇冠』『口コミ人気 No.1』『アフターフォロー No.1』など、いずれも、客観的な調査に基づくとはいえない表示が問題となった」と言う。
 「回答者に対して、実際に該当の商品を利用したことがある者かどうかを確認しなかったケースも問題となった。当然、実際に使用していない人の回答は、”客観的な調査”を裏付けるとは言えないだろう」(同)としている。稲留氏は、「”事業者が任意に選択して対比した調査結果”も、客観的とは言えない」と指摘する。


■調査会社任せもダメ

 稲留氏は「調査会社からナンバーワン表示に関する営業提案を受けても、慎重に判断をすることが望ましい」と話す。

(続きは、「日本ネット経済新聞」8月8日・15日合併号)

薬事法広告研究所 代表 稲留万希子氏

薬事法広告研究所 代表 稲留万希子氏

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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