【化粧品ECのテック活用】 肌診断など活用で成果続々/通常の7倍売り上げる企業も(2023年6月8日号)

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没入体験型ECストア「KATE ZONE」

没入体験型ECストア「KATE ZONE」

 化粧品ECにおいて、”テック”の活用に注力し、成果を上げる企業が増えている。花王グループのカネボウ化粧品では、AIの「顔パーツ診断」に基づくオリジナルメークメソッドの提案など、複数のコンテンツを提供しており、コンテンツを通した購入が増えているという。コーセーでは、肌チェックツールをサイトで提供。同社の独自アンケートによると、ツールを利用した人の約3割がオンラインで商品を購入するとしている。日本ロレアルの「メイベリンニューヨーク」ブランドでは、ライブコマースを活用することにより、1時間で通常月の日商の7倍の売り上げを作ったという。

 MMDLabo(モバイルマーケティングデータラボ、本社東京都)が6月5日に公表した調査結果によると、「化粧品を初めて利用する際に、セルフAI診断を参考にする」と回答した人の内63.3%が、「おすすめされた商品をその場で購入した経験がある」と回答したという。
 「セルフAI診断」のように、肌や顔立ちのデータを基に診断できるサービスを化粧品EC各社では展開している。


■CVRは5.3%に

 花王グループのカネボウ化粧品(本社東京都)が展開するグローバルメーキャップブランド「KATE(ケイト)」は23年1月、没入体験型ECストア「KATE ZONE(ケイトゾーン)」をオープンした。オープン数日で、SNSに20万の投稿が寄せられるなど、大きな反響があったという。オープン前から、SNSの活用やコラボ、ライブコマースなど、入念なプロモーションを実施したとしている。
 同ストアへの流入は、SNS経由が多いそうだ。LINEの「友だち」は129万人で、さまざまなコンテンツや情報を発信しているという。LINEから「KATE ZONE」に流入するケースも非常に多いとしている。
 「ECのCVRは一般的に2%前後といわれている中、『KATE ZONE』を通じたCVRは5.3%(1月24日~2月12日集計)だった」(花王 化粧品事業部門マステージビジネスグループKATE担当 安田亜実氏)という。
 「KATE ZONE」には複数の機能があるが、特に人気のコンテンツの一つが「KATE SCAN」だ。AIが分析したパーツ比率をもとに、KATE担当者が分類した、KATE独自のロジック解析によって、「顔タイプ」の診断を行うことができる。タイプごとにオリジナルメークメソッドを提案するという。
 理想の「なりたいメーク画像」をアップロードすると、パーツごとの分析に基づき、そのメークに近づくためのKATEのアイテムを知ることができるサービス「FACE HACK(フェイスハック)」も好評だとしている。
 コンテンツを通した購入も多いそうだ。


■利用後3割がオンライン購入

 コーセーは、肌チェックツール「KOSÉ HADA mite(コーセーハダミテ)」を自社サイトで提供している。ユーザーはスマホを利用して、QRコードを読み取ることで、同サービスを利用できる。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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