ストリーミング音楽配信/15年中に5社が参入/アマゾンは物販への誘導も

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2015年はストリーミング型(※)の音楽配信サービスが躍進した年と言えそうだ。5月以降5社が同サービスの提供を開始しており、同サービスに参入するEC企業もでてきている。EC最大手のアマゾンジャパンは11月18日から「プライムミュージック」の提供を開始した。アマゾンは、過去の音楽関連の購入履歴をもとにした楽曲のレコメンドができることを強みにしており、ユーザーの、物販への誘導を狙っている。

15年にストリーミング型の音楽配信サービスの提供を開始したのは、アップルやグーグルなど計5社(=表)。月額制でサービスを運営するケースがほとんどだ。そんな中で、アマゾンのサービスは一風変わった仕組みになっている。同社は、既存のサービスである「Amazonプライム」の会員特典として、追加料金なしで音楽配信サービス「プライムミュージック」を利用できるようにしたのだ。
 アマゾンが同サービスをスタートした狙いは「『Amazonプライム』の会員増加とサービス拡充」(広報)にあるという。「過去にユーザーがアマゾンで試聴・購入した音楽関連商材の履歴をもとに パーソナライズドした、お薦めの楽曲を提案できる」(同)点で、他社サービスとの差別化を図っている。
 アマゾンでは音楽のストリーミング配信サービスの提供が、他の商品の販売促進にもつながるとみており、アマゾンのECサイトへの導線も引いている。「音楽関連の商材についてはレコメンドも行う」(同)と言う。「ストリーミングでの視聴で気に入った楽曲や、関連の楽曲を、CDやDVD、MP3データとして、簡単かつワンストップで入手できるのもアマゾンならではといえる」(広報)と話しており、言わば〝高機能試聴機〟との見方をしているとも言えそうだ。
 「プライムミュージック」がアマゾンECサイト上の〝高機能試聴機〟としての役割を果たせば、アマゾンに音楽関連商品を出品しているEC事業者にとって追い風となる可能性もある。


〈「ストリーミング型」とは?〉
 通信ネットワークを介してデータを受信しながら、同時に動画や音声などの再生を行う方式のこと

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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