〈EC業界でM&A活発化〉 「共創型」の新たな提案も始まる/通販・EC業界への広がりも予測(2022年10月6日号)

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 企業の合併・買収(M&A)の動きが、通販・EC業界でも活発化している。M&Aを専門に行う各社は、通販・EC業界におけるM&Aは今後も広がりをみせると予測している。M&Aは匿名による情報伝達が主流だったが、近年はM&Aのプラットフォームが台頭。買い手と売り手の情報がウェブ上で開示されることで中小や個人事業主もM&Aを行うようになった。最近は「共創型M&A」という新たな概念を用いた展開も始まっている。

■近年、増加傾向に

 M&Aを専業に展開する主要4社に、通販・EC業界におけるM&Aの動向について調査したところ、今後もM&Aが増えていく市場と予測している。
 新型コロナウイルスの感染拡大が始まる前は、通販・EC業界のM&Aはそれほど目立たなかったものの、各社では20年度以降、問い合わせや、買い手と売り手の情報などが増えたという。同時に、成約数も堅調に増加傾向にある。
 M&Aマッチング事業などのバトンズ(本社東京都、神瀬悠一社長)では、22年1月から9月までに、通販・EC業界におけるM&Aが100件成約した。「22年12月までに成約件数は120件に伸びると予想している」(神瀬社長)。直近2年で10倍以上に成約数が増えることになる。


■匿名から可視化へ

 M&Aの情報はこれまで匿名で扱われており、情報が開示されることは少なかったが、M&Aのデジタルプラットフォームの台頭によって可視化されるようになった。情報が広く開示されるようになったことは、M&A市場が盛り上がる一つの要因となっている。
 成約した費用にも変化が生まれている。従来は、契約後などの成果報酬型が主流だったが、情報の登録や成約手数料をローコストにする傾向も目立っている。コストを抑えることで、買い手や売り手の情報量が増え、成約に結びつく可能性も高まるという好循環が生まれている。


■事業への知見を重視

 EC企業を買収して自社の事業として成長させていく狙いがあっても、ECの知見やノウハウがなければシナジーは生み出しにくい。

(続きは、「日本ネット経済新聞」10月6日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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