エアークローゼット/「服のサブスクは失敗」の常識覆す/勝機を握る「物流基盤」(2022年9月8日号)

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上場セレモニーの様子(天沼社長)

上場セレモニーの様子(天沼社長)

 エアークローゼットは今年7月、東証グロース市場に新規上場を遂げた。同社は定額制ファッションレンタルサービス「airCloset(エアークローゼット)」を中心に事業を展開している。21年6月期には営業・経常黒字化を達成。22年6月期は5100万円の営業赤字となったものの、上場後の23年6月期は、営業黒字を回復できる見通しだという。流行に左右されやすく、在庫負担も大きくなりがちな「服のサブスク」は収益化が難しいと言われており、これまで、大手を含めた多くの企業が事業撤退を余儀なくされてきた。そのファッションサブスク事業において、営業・経常黒字化と上場を果たし、旧来の常識を覆そうとしている同社の成功の秘訣は、独自の「物流」基盤にあるようだ。

■赤字上場

 同社が提供する「エアークローゼット」は、スタイリストが顧客ごとに「パーソナルスタイリング」した洋服を毎月届けるサブスクサービスだ。同社の売り上げのうち、約9割を占める主力サービスとなっている。
 同社の21年6月期の売上高は、前期比24.7%増の28億8700万円で、営業利益は3800万円。黒字化を達成した。
 22年6月期は、売上高が前期比17.4%増の33億9000万円となったものの、営業利益は、5100万円の赤字となった。「広告宣伝費への投資」や「洋服の購入や、それに伴う減価償却費」が減益の要因となったという。
 ただ、同サービスの収益構造を見ると、安定的に発生する、月額会費と送料による売り上げが80.5%を占めている。そのため、安定した売り上げを期待しやすいという。
 赤字状態で上場した背景には、「安定した収益の見通しが立ち、コストをコントロール下に置くことができた」(エアークローゼット天沼CEO)ことがあったと話す。「信頼を獲得し、資金調達を行うことで、さらなる拡大を目指すために、上場を決断した」(同)と言う。
 「今後の黒字化が見込める」と同社が判断する大きな要因として、同社が独自開発した「物流基盤」があるとしている。


■相次ぐ事業撤退

 一般的に、ファッションアパレルのサブスクは収益化が難しいといわれている。
 サブスク事業に参入した企業の中でも、サブスクサービス「suitsbox(スーツボックス)」を展開していた、スーツのAOKIや、「おまかせ定期便」を展開していたZOZOなどが、サブスク事業からすでに撤退している。
 エアークローゼットでは「ファッションサブスク事業は参入障壁が高い。理由としては、膨大な『コスト』がある」(天沼CEO)と指摘する。


■事業継続を左右する「コスト」

 「パーソナライズされた商品が毎月届く」「さまざまな商品を利用できる」ことは、ファッションサブスクサービスの魅力だ。一方で、顧客ごとに異なる商品を選定・梱包・配送するためには、人件費・配送費などのコストが必要となる。

(続きは、「日本ネット経済新聞」9月8日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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