【ニュースの深層】□□163 <経産省、EC市場規模を発表> 物販系の成長率5%以下、専門家が警鐘(2024年10月10日号)

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デジタルコマース総合研究所の本谷知彦代表

デジタルコマース総合研究所の本谷知彦代表

 経済産業省は9月25日、令和5年度(23年)における国内の電子商取引(EC)市場規模を発表した。23年の国内のBtoC―EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、前年比9.23%増の24兆8435億円に拡大した。そのうち、物販系分野のBtoC―ECの市場規模は同4.83%増の14兆6760億円だった。物販系のBtoC―ECの市場規模は20年以降、縮小しており、遂に5%を切る段階にまで突入している。今後、ECでどのように戦っていくべきなのか、有力事業者の動向と著名コンサルタントの声から紐解く。

■最盛期は20年

 直近6年間の物販系のBtoC―ECの成長率を見ると、20年が前年比21.71%増と最も大きかった。21年は同8.61%増、22年は同5.37%増、23年は同4.83%増となっている。20年以降、市場は確実に拡大しているものの、成長率は鈍化している。
 前職で経済産業省のEC市場調査を担当し、EC特化のシンクタンク「デジタルコマース総合研究所」の代表を務める本谷知彦氏も、「国内のEC市場が明らかに成熟化に向かっている表れである」と説明する。
 EC業界で著名なコンサルタントである、いろは(本社千葉県)の竹内謙礼代表は、EC市場規模を分析する上で、押さえるべき数値として、経済産業省が今年4月に発表した「2023年小売業販売を振り返る」の調査データがあると指摘する。
 「23年の小売業全体の販売額を示す『小売業商業販売額』は前年比5.6%増と、ついにECの4.83%増を上回った。小売業商業販売額にはECの販売額も含まれているため『実店舗が好調で、ECが不調』とは一概には言えないところもある。ただ、18年以降、一度もEC市場は前年比の増減率で小売業商業販売額に負けたことがなかったことを考えれば、『ECが特別に儲かる市場』ではなくなりつつあることは、理解する必要がある」(いろは・竹内代表)と警鐘を鳴らす。


■物販系の分野別は?

 物販系分野のBtoC―EC市場規模の内訳を見ると、「食品、飲料、酒類」が2兆9299億円、「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」が2兆6838億円、「衣類・服装雑貨等」が2兆6712億円、「生活雑貨、家具、インテリア」が2兆4721億円だった。
 これらの上位4カテゴリーの市場規模が2兆円を超過するとともに、物販系全体の73%を占めていることが分かる。

(続きは、「日本流通産業新聞」10月10日号で)

いろはの竹内謙礼代表

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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