【千原弁護士の法律Q&A】▼180▲ 外国人のNB入会に際しての判断基準は?

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む
千原曜弁護士

千原曜弁護士

〈質問〉

 当社はネットワークビジネス(NB)を行っていますが、外国人の会員登録に関連して、質問があります。以前、先生の連載を拝見していたところ、「外国人をネットワークビジネスに入会させるときも、社員として雇うときと同じように、在留資格の確認が必要である」と書かれていました。弊社では、新規会員登録のときに、外国人の場合は、在留カード(外国人登録証明書)、在留許可のあるパスポートのコピーを提出していただくようにしています。ただ、そもそも日本人か外国人かについて判断に悩むケースもあります。今は、カタカナ名前の日本人もおり、名前だけで判断するのが難しいのです。そうした場合、日本人であるということを、文書で誓約させれば問題ないのでしょうか。判断基準があれば、教えていただければと思います。(NB会社社長)

〈回答〉 厚労省の指針を参考に

 雇用等に当たっての、外国人か日本人かの確認については、厚生労働省が指針を出していますので、NB入会の判断にあたっても、これを参考にすれば良いと思います。
 これによると「通常の注意力をもって」当該者が外国人であると判断できる場合には、外国人として在留資格を調査しなければならないとされています。
 逆に言えば、「通常の注意力」をもって、日本人だと判断できれば、外国人としての在留資格の調査にまで踏み込む必要はないということになります。
 その結果、万が一、ビジネスの資格のない外国人の入会を認めてしまったとしても、会社にはおとがめは及ばないこととなります。
 この「通常の注意力」とは、特別な調査が必要なものではなく、「名前や言語などから、外国人であることが一般的に明らかである」場合をいうとされています。
 このため、(1)日本名(日本人のような名字)で、かつ、(2)日本語が堪能であることや、一定期間(91日以上)日本に居住していることが確認でき、(3)自分で、日本人であると述べる者─については、問題ないとされています。
 基本的に、日本人性を疑わせる事情(名前がカタカナ等で不自然なことに加えて、明らかに日本語がたどたどしい等)が他にない限り、登録に際し、日本人として扱ってよいと考えます。
 ただ、そうすると、疑わしいケースでは、本人からの誓約書を取る、あるいは、ご紹介者が「日本人です」と保証する、などだけでは不十分だと思います。
 できれば、ご本人との面談、どうしても難しければ、最低でも電話でお話をして、(1)ご本人から、自分が日本人であることの説明を受け(2)日本語が普通に話せることの確認を行い─その記録を残されることだと思います。


〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。現在、130を超える企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、また、数多くの大規模企業再生・倒産事件を手がけてきた。業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「こんなにおもしろい弁護士の仕事」Part1~2(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

千原弁護士の法律Q&A 連載記事
List

Page Topへ