【千原弁護士の法律Q&A】 ▼421▲ SNSの誹謗中傷への対応は?(2025年1月16日号)

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<質問>


 ネットワークビジネス(NB)企業ですが、当社と何らの関係のない個人Aが、当社の勧誘方法(商品の説明や、リクルートの手順)などを非難する内容をユーチューブで発信しています。会員から「何とかならないのか!」といった声が上がっていて、対応に苦慮しています。A自身に対する法的手続きも検討していますが、その場合の条件や、当社としての準備・検討事項を教えて下さい。具体的にどんな請求が可能かも教えてください。
                 (NB会社社長)

<回答> 法的手続きを視野に「信用毀損」の検討を
 

 まず、Aのような発信をする人は、いわゆる「確信犯」なので、警告書を発送しても、なかなか止めてくれないと思います。
 かえって「こんな警告書が来ました!」などと、面白おかしくネタにされるかもしれません。
 そこで、この点も覚悟の上で、最初から法的な手続き(差止の仮処分や損害賠償請求訴訟)を視野に入れ、Aの発信が、法的に「貴社への信用毀損になるか」を検討する必要があります。
 一般に信用毀損は、「他人の社会的評価を低下させる事実」を「流布」した場合に成立します。貴社の勧誘方法を非難するユーチューブの発信は、貴社の社会的評価を低下させますし、ユーチューブによる発信は「流布」でもありますから、原則として信用毀損に該当します。
 しかし、その内容が、(1)「公共の利害」に関し、(2)専ら「公益を図る目的」でなされたもので、かつ(3)その事実が「真実であると証明されたとき」─は、信用毀損にはならず、Aの発信は法的に正当となります。

 これを検討すると、

(続きは、「日本流通産業新聞 1月16日号で)

<プロフィール>
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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