【千原弁護士の法律Q&A】▼417▲ 不備のない契約書面に関するセンター介入について(2024年11月14日号)

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<質問> 法的見解を書面でセンターに提示


 当社はネットワークビジネス(NB)の主宰企業です。契約書面(概要書面も)については、コンプライアンスの最重要事項の一つと捉えており、顧問弁護士のチェックも受けつつ、内容には不備がないものを利用しています。最近、クーリング・オフ期間、中途解約期間ともに経過している案件で、消費生活センターが介入してきました。当社が交付した契約書面に、「消費者が入会時に購入した個別の商品の内容」「金額」「支払い日」等の具体的な情報がなく、特定負担の記載が不十分であることから不備書面だと言ってきています。クーリング・オフ期間が未経過という考えに基づき、キャンセル・返金に応じるよう、要請がなされています。当社の契約書面には取扱商品や特定負担の内容が一般的、網羅的に記載されており、それで足りると理解しております。そこで、その旨をセンターに回答しましたが、センターは頑として譲りません。センターの主張は誤っていると思いますが、いかがでしょうか。また、どのように解決すべきでしょうか。
                 (NB会社社長)

<回答>


 私もNB企業の顧問をする中で、過去、何度か同じような問題を経験しました。特商法の「訪問販売」類型で交付すべき契約書面は、今回、センターが主張する、個別具体的な契約内容が記載された「領収書」的なものです。一方、(貴社の使用されているものもそうだと思いますが)連鎖販売の契約書面は、主宰会社の概要や取扱商品、ビジネスプラン、クーリング・オフや中途解約制度を一般的、網羅的に説明したもので、いわば「カタログ」的なものです(契約年月日は、具体的な日付を記載する必要があります)。
 これは、「通信販売」規制で要求される「特定商取引法に基づく広告表記」と同じようなイメージというと、理解していただきやすいと思います。

(続きは、「日本流通産業新聞」11月14日号で)

<プロフィール>
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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