【ヒットの秘密】累計350万箱を販売  <「スチール製工具箱」> 先行して海外市場を開拓(2024年9月19日号)

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スチール製工具箱(写真は製品の一部)

スチール製工具箱(写真は製品の一部)

 1969年に創業し、工具箱や工具収納関連、キャスターの製造販売を行っている東洋スチール(本社大阪府、久司泰二社長)。同社は、世界初の「一枚絞り加工(深絞り技術)」を用いたスチール製のツールボックスを作った会社として関係者には知られている。
 創業から55年が経過した現在、これまでに販売してきた工具箱は累計で350万台を突破し、国内のスチール製工具箱のシェア7割を同社が握る。
 単なる工具箱としての機能だけに留まらず、日常的なアイテムやデスク周り製品の展開、暮らしの一部に工具箱を取り入れる利用シーンの提案も地道に続ける。なかでも、数年前から海外展開を加速させたことが一つのターニングポイントにもなっている。
 同社の販売チャネルはOEMや企業とのコラボレーションなどのBtoBと、EC展開の二つ。
 海外市場の開拓は、越境ECを始めるよりも先に、展示会の出店や海外エリアの小売店での販売、有名ブランドとのコラボアイテムの展開などを進めてきた。現在、欧州や米国、アジアなど世界20カ国以上で同社の製品が販売されているという。
 越境ECは自社ECサイトのリニューアルを行った21年からスタート。海外販売を前提にし、ECサイト構築サービスは「Shopify(ショッピファイ)」を活用して設計した。
 サイト上での言語対応のみならず、SNSも海外ユーザーにアプローチできるように全て英語と日本語を織り交ぜて訴求。国外でのSNS広告も積極的に行い、デザイン性に感度が高い海外ユーザー層の獲得につながっているという。
 開拓はまだ道半ばとしているが、越境ECでは、プレゼントやギフト需要などで同社の製品が選ばれて購買につながるケースが多いとしている。ただ、越境EC自体の売り上げは依然として増加傾向にあり、国内に比べて海外売り上げ比率が高まっている状況にあるという。
 一方、海外の売り上げ比率が高まるなか、今後の課題は国内の開拓と新たな新商品の開発にあると考えている。国内は暮らしに寄りそうアイテムとして「アウトドア好き」「アート好き」「インテリア好き」の三つをターゲットに開拓を進めていく計画だという。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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