【千原弁護士の法律Q&A】▼388▲ インボイス制度会員への報酬の支払いについて(2023年8月31日号)

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〈質問〉

 ネットワークビジネス(NB)会社を経営しています。2023年10月導入のインボイス制度について、お聞きしたいと思います。会員への報酬の支払いについて、計三つの質問があります。まず、(1)既存の会員に対して、インボイス登録を行い課税事業者になるよう通告し、守らない会員に対しては、一律に消費税分10%を差し引いての報酬支払い、もしくは除名処分などをしようと検討しています。この方法は、いかがでしょうか。(2)他のNB各社はどのような対応を取っていますか。(3)23年10月以降、新規にビジネス登録する場合は、課税事業者であることを、登録の要件にしようと思いますが、問題ないでしょうか。仮にそのような方針を採る場合は、どんな対応が必要でしょうか。(NB会社社長)

〈回答〉 罰則を科すことは独禁法上問題となり得る

 インボイス制度については、NB業界に限らず、日本中の企業や個人が対応に苦慮している状況です。落ち着くまでは何年もかかると思います。

 ご質問にお答えすると、まず(1)ですが、既に議論されているとおり、独禁法に違反する可能性の高い措置です。
 2023年1月段階において、公正取引委員会からも、登録を強制したり、罰則を科したりすることは独禁法上問題となり得るという趣旨のガイドラインが公表されており、不適切だと思います。

 そもそもNB会社と会員との関係は信頼関係が基本です。独禁法の点を除いたとしても、明らかに会員の反発を招く措置を強行することは、経営上も良くないと思います。

 次に(2)ですが、

(続きは、「日本流通産業新聞」8月31日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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