【千原弁護士の法律Q&A】▼182▲ ネットワークビジネスのオンライン広告規制は?

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千原 曜 弁護士

千原 曜 弁護士

〈質問〉

 当社は、ネット通販を展開していますが、今後、ネットワークビジネスも始める予定です。それぞれの広告をする場合のオンラインでの「特定商取引に関わる表示」ですが、表示する位置や方法などについては、何か規制があるのでしょうか。「消費者にとってわかりやすい場所」と聞いていますが、例えば、オンラインのNBの会員規約の中に入れても問題ないでしょうか? 業者に発注したところ、アイコンを増やすのが難しいと回答があり、できれば、そうしたいと思います。(ネット通販会社担当者)

〈回答〉 「容易に認識できる」記載が必要

 貴社も、ご承知のとおり、通信販売、NBとも、オンライン広告をするときには、特定商取引法による法定記載事項、つまり、かならず書かなければならないことが決まっています。なお、NBのこの規制は、リクルートの広告をする時です。
 通信販売とNBでは、それぞれ記載事項が違います。例えば、NBの場合は、収入が得られる表現が含まれるときは、特定利益の計算方法を書く必要があります。
 これを書くと、かなり大げさな内容になってしまうので、雑誌や新聞などで、NBのリクルート広告を出しづらい原因になっていると思います。
 さて、ご質問の件ですが、通信販売については、細かい通達が出ています。一方、ネットワークビジネスのリクルート広告についての通達はありません。
 通信販売については、2013年2月の通達で、(1)お客さまが「容易に認識することができる」「文字の大きさ・方法」をもって、「容易に認識することができるような場所」に書く(2)ホームページなどネットの広告では、画面のスクロールや画面の切替えをしないですむ場所に書くことが望ましく、特に商品の値段や、代金の支払い時期・方法については、画面上に「広告の冒頭部分」を表示したときに見えるように記載すべき(3)ただし、やむを得ず、「冒頭部分」に書けないときには、「冒頭部分から容易に記載箇所への到達が可能となるような方法」または「契約の申込みのための画面に到達するにはこれらの事項を記載した画面の経由を要するような方法」とするべき─などとされています。
 (3)については例えば、ネット画面上に、先述の値段等が書かれていることが簡単にわかる表現(「特定商取引法に基づく表記」等)があり、リンクや画面切り替えのためのタブが用意されている場合は、「冒頭部分から容易に記載箇所への到達が可能となるような方法」に該当するということです。
 NBには通達はありませんが、通販よりも、NBが、規制は厳しいと考えるべきであり、少なくとも通販の通達の要件は満たす必要があると思います。
 そうすると、貴社でもNBのリクルートを含む広告をオンライン上でされるときは、上記のような形式にしなければならず、会員規約の中に記載があるというようなことでは、お客さまには分かりづらく不十分と判断される可能性が高いと思います。


〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。現在、130を超える企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、また、数多くの大規模企業再生・倒産事件を手がけてきた。業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「こんなにおもしろい弁護士の仕事」Part1~2(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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