【YKC・システムコンサルティング 藤野正樹社長】〈アフターコロナを占う〉優勝劣敗が激化、備えたNB企業が勝つ

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 ネットワークビジネス(NB)企業の総合コンサルティングを行うYKC・システムコンサルティング(本社東京都、藤野正樹社長)は、「新型コロナ」によって、NB業界は大きく変わるとみている。すでに地殻変動は始まっており、デジタル化などを積極的に進めた結果、売り上げを大きく伸ばすことに成功するNB企業も出てきているという。「今後、NB業界の”優勝劣敗”はさらに激化する。新しい時代に備えた者が、勝者として生き残る」と話す藤野社長に話を聞いた。

■NB業界に与える影響

 ─NB業界ではコロナの影響で、イベントが軒並み中止になったりしている。コロナがNB業界に与える影響についてどう見るか。
 藤野 確かに、NB各社では、イベントが中止になるなど、大きな影響を受けている。ただ、私は、コロナが業界にもたらしたものが、単純な”災厄”だとは捉えていない。コロナはむしろ、業界に”パラダイムシフト(価値観の劇的な変革)”を促しているように思う。アフターコロナまで見通したとき、よくも悪くも、ゲームのルールは大きく変わる。新しい時代に対応したやり方に舵を切った企業の中には、4~5月の時点で、売り上げを大きく伸ばした企業が出てきている。一方で、旧態依然のやり方を継続するだけの企業にとってアフターコロナは、厳しさが増す時代になるかもしれない。
 ─コロナ後の新しい時代に、NB企業はどのように適応していけばよいか。
 藤野 そのことをお話しする前に、現状認識や、踏まえるべき前提を皆さんと共有しておきたいと思う。
 まず踏まえるべき一つの前提は、「緊急事態宣言が解除されたからといって、コロナが”これで終わり”とはならない可能性がある」ということ。巷間言われているように、1918年のスペイン風邪の大流行のときも、第2波、第3波の流行が発生した。しかも、死者数は、第1波のときより第2波のときの方が多かったともいわれている。寒さがやってくる秋以降、再び緊急事態宣言が出されるような事態になる可能性があるということも、事前に織り込んでおく必要があるだろう。それが、経験ではなく歴史から学ぶ、人類ならではの知恵といえる。ワクチンが開発されるまでは、この問題が本質的に解消されることはないと思っておいた方がいい。
 もう一つ、皆さんと共有しておきたい前提としては、1995年の阪神淡路大震災後の状況がある。震災により、関西圏が大きな打撃を受けたのはご存知の通りだが、NB企業をみると、関西圏で売り上げを伸ばした企業が目立った。ある大手NB企業などは、売り上げの過半を関西圏で挙げたと聞いている。リーマンショック後も同様に、売り上げを伸ばすNB企業が増加した。この二つに共通するのは、失業者が劇的に増加した時期だったということだ。NBは、失業者の受け皿になることができるビジネスだ。
 一般的に、失業者数が増加すると、連動して自殺者も増えるといわれている。GDPの減少と自殺者の増加が正比例するという説もある。コロナにより、国内のGDPが減少し、失業者が増加するのは、誰の目にも明らかだろう。NBは、自殺者を減らし、社会を救うビジネスになりうる。


■NB業界のデジタル化

 ─そうした前提を踏まえた上で、NB企業がとるべき道は。
 藤野 ウェブセミナーを導入するなど、ビジネスのデジタル化を進めることだろう。イベントが開催できないことによるデメリットも、デジタル化を進めることによって、かなりの部分カバーできる。デジタル化を進めたことによって、地域間の教育格差やモチベーション格差が平準化されるというメリットもある。実際に、デジタル化を進めたことによって、コロナ前比で売り上げを2割以上アップさせたという企業もある。
 ─企業によっては、会員の高齢化が進んでいて、デジタル化は難しいという声も聞くが。
 藤野 「だが、やるしかない」と考えて、やるしかないと思っている。デジタル機器は日進月歩で進化しており、使いやすくもなっている。孫に教えてもらいながら学び、今ではデジタル機器を駆使しているという高齢の方もいる。当社では、会員に、デジタル化にうまく対応してもらうためにみてもらうアニメーションの制作にも現在取り組んでいる。
 秋以降の第2波の可能性まで織り込んで行動するならば、その前に、デジタル化の設備投資を行っておくべきだろう。リアルのイベントを夏の間に実施しておくというのも良い施策だとは思う。
 アフターコロナのNBは、「リアル・バーチャル・リアル」から、「バーチャル・リアル・バーチャル」へとシフトすると考えている。現実に会うのが当たり前で、その合間にデジタルで連絡を取り合うというのではなく、デジタルで連絡を取るのが普通で、ときどきリアルで会うという形になっていくだろう。
 ─NB企業が、デジタル化に取り組むに当たっての注意点は。
 藤野 闇雲にデジタル化を進めても、十分な成果を見込めない。デジタルの仕組みの上に、どのようなコンテンツを載せていくかが最も大切だ。単に商品紹介を垂れ流すだけだと、”もったいない仕組み”にもなりかねない。
 ─ ”もったいない仕組み”とは?
 藤野 要は、商品を買ってもらうだけの仕組みという意味だ。新規の会員に、お付き合いで2~3回商品を買ってもらったとしても、それだけでは意味がない。組織の拡大はそこで止まってしまう。新規入会者を、段階的にトップディストリビュータへと育成する仕組みを、デジタル化の流れの中に組み込んでいく必要がある。当社では、そうした仕組みづくりの部分も含め、ビジネスのデジタル化のご相談に乗らせていただいている。この機会に、デジタル化を推進されることを、強くお勧めしたい。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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