【JAPAN HOME WAND 堀家正弘社長】〈「住環境総合リフォーム企業」として再スタート〉企業理念を周知し、社員目線の企業づくりを

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 外壁塗装を主軸に、住宅関連商材の販売を手掛ける、JAPAN HOME WAND(ジャパンホームワンド、旧ELJホーム、本社愛知県、堀家正弘社長)は20年1月で3期目を迎えた。米国の高級塗料「イノセンス」を採用し、高い製品力と営業力で他社との差別化を図り、2期目となる19年12月期の売上高は前期比45%増の64億6000万円と順調に業績を伸ばしている。社名を変更し、「住環境総合リフォーム企業」として再スタートした堀家社長に企業理念や今後の事業戦略について聞いた。

 ─社名変更した背景について聞きたい。
 当社は、ELJソーラーコーポレーションの100%子会社として17年12月に設立した。設立から約2年間、外壁塗装を中心に事業展開していく中で、太陽光・オール電化や蓄電池といった環境に配慮した商材をメインに住宅設備の要望が増えていた。ただ、太陽光・オール電化や蓄電池は取り扱っていないことで提案ができなかった。
 これからのリフォームの在り方をさまざまな角度から検討した結果、外壁以外の事業に幅広く対応していくこととし、ELJグループから独立することを決めた。
 ─新社名に込めた想いを聞きたい。
 ELJソーラーコーポレーションの前身の会社を10人で立ち上げた2011年にも、太陽光・オール電化で日本一になることを掲げ、約5年で達成することができた。業界ナンバーワンを目指すという意味で「1(ワン)」を入れたほか、さまざまな生物が生息する海の「湾」をイメージし、いろいろな強みを持つ人材が集まる組織にしたいという想いを込めた。中国の古代思想「王道」の「王(ワン)」という意味も入れた。
 営業現場では、他社の契約をひっくり返して、自社の契約にするという行為を一部企業がやっていると聞く。住宅リフォームに対する信用を失うことにもなりかねず、結果的に自分の首を絞めることになってしまう。企業理念を忠実に守り、適正な販売を徹底させることで、業界の健全化に貢献できればと考えている。


■企業理念を徹底

 ─企業理念の徹底も社員に浸透していると聞く。
 現在までに社員数は230人を超え、理念の周知徹底が難しくなっている。そのため、企業理念についてきちんと活字(言語化)にまとめて社員教育の際に徹底するように心がけている。普段から私が社員に伝えていることを活字にしてまとめた。口頭だけで伝えるのは難しく、活字に起こすことで全社員に浸透するようにした。
 その結果、今年1月に入社した社員でも企業理念が答えられるまでに浸透してきている。こうしたミッションの共有ができていることも当社の強みだろう。企業理念を社員一人一人がどのように捉えて、自らのこととして言えるかが大事だ。企業が安定して成長するためには社員の成長が最も必要だ。
 ─新卒採用も順調だ。
 以前からグループで実施しているが、現社員の紹介で入社する「リファラル採用」という手法も機能している。そのためには、働いている社員に「良い会社」と思ってもらわなければ応募者に魅力が伝わらない。私は常に社員目線で、社員がどのように考えているか、入社して間違いがないと思ってもらえるような企業づくりを心がけている。


■増収増益を達成

 ─19年12月期における業績については。
 売上高は前期比45%増の64億6000万円、営業利益は非公表だが増収増益になった。
 増益となったのは、社員が成長したことで生産性が向上したからだ。例えば、クローザーによる成約率については前期比4ポイント増の59%となった。20年12月期売上高は同23.8%増の80億円を見込んでいる。
 現在サプライヤー(アポインター)は108人、クローザー26人で構成している。20年4月には前期の2倍となる50人の新卒が入社する予定だ。今後は女性のクローザーを育成するのが目標だ。女性がいきいきと働ける環境づくりを目指す中で、女性のクローザーは重要な存在だ。
 ─東日本地区に営業エリアを広げつつある。
 人材も順調に増えたため、関東を中心に支社を増やし、現在までに全国8支社体制となった。住宅関連市場で、首都圏は大きなマーケット。今年10月には仙台支社を設置し、東北にも進出する。愛知県で実績のある幹部クラスを関東地区の支社長に据えている。
 取扱商材も外壁以外に「太陽光・オール電化」「蓄電池」に広げ、今年は「エネルギー(EN)事業部」を埼玉支社からスタートし、今年7月以降は全支社で展開する。
 営業手法は、創業以来ドアツードアが中心だが、より消費者との接点を広げることを目的に、今年2月から、埼玉と岡山でショッピングモールなどでのイベント販売を始めた。ウェブサイトによる一斉見積りサイトをグループで作り、新たな集客につなげる。イベントとウェブによる事業で21年12月期には年商30億円、ドアツードアで70億円の計100億円に引き上げていきたい。
 ─20年12月期は、さらに働き方改革を推し進める。
 当社は以前から、残業を禁止したり、休日をきちんと確保させるなど独自に働き方を整備してきた。今年は、営業活動の無駄を省くことに力を注ぐ。訪問販売は断られる仕事だ。お客さまとのやり取りで、見込みのレベルをあいまいにせずに、きちんと「断られる」ことで結果的に重要なアポイントを得ることにつながる。一時的には苦しいかもしれないが、こうした営業活動の積み重ねが人間的な成長に確実につながる。
 訪販という職種が、世間から「高いレベルの仕事」と言われるような人づくりができる企業にしていきたい。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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