【ダスキン 山村輝治社長】販売員がダスキンの窓口担い、顧客の課題解決を

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 ダスキンは、2024年3月期を最終年度とする9カ年の長期戦略「ONE DUSKIN」に基づき、訪販グループでは事業コンセプト”生活調律業”を掲げ、「暮らしのリズムを整えよう♪」をもとに事業を進めている。中でも家庭市場においては「おうちのコトから家族の暮らし総合窓口へ」を定め、販売員と顧客との対話を軸に、ダスキンが取り扱う全てのサービスの提案を通じて、顧客の課題解決につなげる。山村輝治社長に訪販事業の戦略について聞いた。

■暮らしのファンミーティングを開始

 ─19年3月期は連結で減収決算となった。
 前期を振り返ると創業55周年キャンペーンを実施したことや、ナックと資本業務提携を締結したことが大きなトピックスだ。
 連結売上高が前期比1.4%減収となったのは、家庭向けのダストコントロール事業の不振が影響したものだ。家庭用でも主力のモップのレンタル事業は芳しくないが、エアコンクリーニングと家事代行といった役務サービスは好調だ。訪販グループ全体でみると、家庭市場においては商材やサービスで差が生じている。
 ここ数年、家庭用のモップのレンタル事業の不振が課題にある。これまで約50年間ダスキンがこだわってきた対面で会話しながら営業するレンタル以外にも、お客さまの生活スタイルに合わせた仕組みを取り入れることで販売員と対面できなくてもレンタルが完結するポストレンタル制度などの仕組みも積極的に導入している。しかしながら新しい仕組みを知っているお客さまが少ないのも課題だ。

 ─顧客との交流を狙いとしたミーティングも始めた。
 昨年4月から全国でお客さまとコミュニケーションする機会として「暮らしのファンミーティング」を開始した。ミスタードーナツ事業で先行して実施していたが、昨年から訪販グループと隔月で実施し、私は毎月参加している。全国の9地域本部ごとで実施しており、年内で一巡する。
 暮らしのファンミーティングでは、ダスキンの歴史を映像で流した後に、モップの効果を知ってもらうための実演を交えて、お掃除全般の豆知識を紹介している。その後は、私を含めて社員との質疑応答の時間を設けている。
 参加者は、50~70代のお客さまが多く、より幅広い層に来ていただくことが今後の課題だ。

 ─「暮らしのファンミーティング」を通じてどのような課題が見えてきたのか。
 当社の主力商品であるモップの特性についてもあまり知られていないことが課題にある。実際にホコリを可視化して、ホコリを掃除する場面を再現すると、参加者から驚きの声が上がる。お客さまには数年前に販売員がデモンストレーションを行っていたが、お客さまにいかに浸透していないかがわかった。
 またモップ以外のダストコントロール事業で取り扱う商品の認知度が低いということがみえてきたため、モップを含めその他商品の告知も重要だと考えている。

 ─商品数を絞り込むことも視野に入れている。
 販売員が取り扱う品目数を絞り込むことも検討しているが、本質的ではない。商品が知られていないというは当社の提案力に問題があるからだ。
 会員制のウェブサイト「DDuet(ディーデュエット)」を通じて、本部からダイレクトにお客さまに新商品を案内している。できる限り、現在のお客さまに会員登録していただいて、対面営業と並行して案内できることが理想だ。
 実際に、DDuetの会員になると確実に商品・サービスの情報が届けられることなどから解約になりにくく、顧客単価も高くなることが分かっている。お客さまが商品やサービスを知る機会を増やすことで明らかな成果につながっている。

 ─解約の防止も課題になっていると聞く。

(続きは、「日本流通産業新聞」8月22日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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