ファンケルグループでサプリメントの開発・販売を手掛けるファンケルヘルスサイエンス(本社神奈川県、田多井毅社長)は、機能性表示食品制度について積極的に取り組む意向だ。制度開始日の4月1日に一部製品を届け出るほか、他の製品も準備が整い次第、順次届け出を行っていく。同日付で取締役に就任する事業戦略本部の青砥弘道本部長に、同制度への取り組みや健康食品市場への影響などを聞いた。
サプリメントに厳しい新制度
─機能性表示食品制度に意欲的な姿勢を示していますが、届け出のタイミングはいつごろを予定していますか。
「4月1日を目指します」
─研究レビューを行った成分、最終製品として、具体的に何を届け出る予定ですか。
「ガイドラインが固まってから再精査している部分があるので、成分および製品についての回答は控えます。今後、製品は可能な限り、機能性表示食品制度として届け出る方針です。4月1日に間に合わないものは準備が整い次第、届け出を行います」
─通販のほか直営店も展開していますが、同制度はどちらに有利だと思いますか。
「健康食品全体の市場ということでは、スーパーやドラッグストアなどが伸びていくのではないでしょうか。米国では当初、マルチレベルマーケティングやダイレクトマーケティングが主流でしたが、94年にこの制度が始まってから、店舗販売が中心になりました。表示が分かりやすくなって、お客さまが選べるようになったことの影響だと思います。同じような状況が日本でも出てくるかもしれません」
─発芽米や青汁はどのようなカテゴリーになりますか。
「今回の制度は大きく分けて三つのカテゴリーがあります。一つはサプリメント形状、二つ目は加工食品、三つ目は生鮮食品です。現時点で発芽米や青汁は加工食品としての届け出を検討しています」
─この制度は、サプリメント形状と加工食品ではどちらに有利に働くとみていますか。
「加工食品でしょう。サプリメントに対しては基準が厳しいからです。例えば、あるサプリメントの賞味期限が2年だった場合、賞味期限の期間まで、機能成分が表示量のままであることを保証しなければなりません。成分によっては経年で減少するものがあり、それを見越して配合量を検討しなければなりません。一方で生鮮食品は、産地や収穫時期によって機能成分の配合量が変わることは避けられませんが、届け出者が説明できればいいとなっています。サプリメントに対する厳しさと比べると、かなり緩いという印象は否めません」
「科学的根拠の取り方も異なります。サプリメントはヒトでの介入試験が必要になりますが、加工食品と生鮮食品は、食べたらどうなったかの観察試験も可能で、比較対象が必要ありません。これはガイドラインではなく検討会で決まったわけですが、サプリメントと加工食品・生鮮食品で仮に同じ成分だったとしても、科学的根拠の取り方が大きく違っており、そこは是正してもらいたいところです」
(続きは本紙3月26日号で)
【健康食品通販企業トップインタビュー〈機能性表示制度への対応を聞く〉】ファンケルヘルスサイエンス 青砥弘道事業戦略本部本部長/不利を承知で先陣を切る
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