ヒト幹細胞培養液の化粧品やアルガトリウム配合のサプリメントを主力にネットワークビジネス(NB)を展開する美・Style(本社愛知県)は2015年の創業以来、順調に業績を伸ばしている。23年5月期は、次の成長に向けた土台作りの年と位置づけ、トレーニングを強化するほか、美容に特化したトレーニングを通じて、組織の底上げを図る。古田由里子社長に話を聞いた。
─22年5月期の業績見通しについては。
コロナ禍の影響で、上半期は思うようにセミナーが開催できなかったが、昨年末に開催したラリーを境に、下半期は盛り返した。7月に開催するイベントに合わせて実施しているキャンペーンも盛り上がりを見せており、活性化している。
この間、オンラインでのリクルートが進んだものの、エイジングケア世代の50~60代の女性が多い組織のため、対面でのリクルートの方が強みを持っている。化粧品ということもあり、直接相手の表情を見て話をして、状況に応じて対応できる点に対面の強みがあると考えている。
─業績好調の背景について。
22年5月期は全ての月で前年同月を上回っており、今年2月には最高タイトルの達成者が誕生した。このリーダーの誕生をきっかけに、全国各地でセミナーを開催することができるようになり組織を伸ばすことができている。女性やNB経験者の中堅リーダーもバランスよく全国にいることもあり、地域の隔たりなく組織を広げることができている。
現在の会員数は約1万人だ。コロナ禍で思うようにリクルートできなかった中で、21年12月に都内でラリーを開催し、タイトルアップキャンペーンを展開したことも成長を後押した。
─新規登録する会員の傾向は。
50代以上のエイジングケア世代が中心だが、最近は30代などの若年層も増えてきた。NB経験者については「美・Styleは、楽しい・安心できる」という声が寄せられる。
当社では、商品知識や報酬プランなどのスキルだけではなく、人間的な内面を磨くことを主眼に置いている。私自身は、生涯そのものが学びの場だと考えている。事業を通じて人間力を高めることができる企業を目指している。
女性の待遇改善という社会課題は、世界的に見ても日本は解決されていない。性別や年齢に関係なく、シルバーエイジが活躍できる組織にしたい。
─美容トレーニングを始めた。
美容専門家を招いたトレーニング「美容インストラクター第1期生養成講座」の第1回目のトレーニングを今年3月に開始した。
「美容インストラクター」とは、シニアマネージャー以上のタイトルを保持する会員が対象で、セミナーやサロン会などで美容セミナーを開催することができる。「シュリーシリーズ」の開発者で美容専門家の荻原恵子氏を迎えて、皮膚理論と化粧品の基礎知識をテーマに講演してもらった。当日は荻原氏による講演会の後、午後から実技講習を実施した。商品知識を問うテストを実施し、合格者にはディプロマの授与式を行った。
フォロー研修として、健康・美容・環境をテーマにしていることを必要があるもの、付加価値があるものについてリーダーにきちんと知識を身に付けてもらいたい。会員にトレーニングを通じて正しい情報を伝えてもらうことが狙いだ。
─化粧品シリーズの特徴について聞きたい。
国産で、純度100%のヒト幹細胞培養液「Sri(シュリー)」を中心に、美容液、洗顔料、クリーム、ヘアケアシリーズをそろえている。美容液は性別関係なく、多くの会員に利用していただいている。
21年7月には美顔器「Sri CELL PLUs(シュリー・セル・プラス)」を投入した。そのほか、洗剤「美・EARTH」、プロトンウォーター「美・Style PROTON WATER Silica(ビ・スタイル・プロトン・ウォーター・シリカ)」などを取りそろえている。
化粧品のブランドチェンジには大きな勇気がいる。製品を使い続けてもらうための理由が必要だ。
─23年6月期の事業計画は。
原点回帰ではないが、当社の理念である、豊かで充実した人生を送るために、私たちは「外見」「環境」「心」「人格」「体内」─の五つの美が大切だということを徹底したい。心身ともに美しくなり、人に感謝できる人生が一番幸せだと思う。「スタイル」という社名には、身体も含めて、全ての行動という意味を込めている。
雇用関係がないので強制できないが、一般的に必要最低限のビジネスマナーを学ぶことができるトレーニングも始める。当社が加盟する一般社団法人全国直販流通協会(事務局東京都)監修のコンプライアンスブックを活用しながら、学べる環境づくりをしていきたい。
この土台作りを改めて構築することで、さらなる発展の基盤づくりの年にしたい。
【NB化粧品】 〈インタビュー〉美・Style 古田由里子社長/美容特化のトレーニングで組織の底上げを(2022年6月30日号)
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