住宅リフォームや外壁塗装、太陽光発電などの訪販事業を手掛ける住設各社が、主力事業を拡大して収益化に向けた動きを本格化している。主力事業と親和性の高い取り組みを新たな事業として乗り出すほか、人材育成やサブスクリプションモデルなどに取り組む企業もある。すでに、成果を出している企業もあり、今後の展開に期待が寄せられる。しかし、住設訪販企業でも品不足の状況が続いている。少しずつ供給は回復してきたという声もあるが、元通りの状態まで道は遠い。原価の高騰により、仕入れ値も上がっているため、収益性も含めた事業の新たな展開がさらに重要になっている。
■計画以上の成果
太陽光発電や蓄電池のテレアポ訪販を手掛けるリベラルソリューション(本社東京都、下田穣社長)は21年9月5日、神奈川・川崎市に塗装専門店の「リベラルペイント」を開店した。
初年度の売り上げ目標である約2億円を上回るペースで推移。「予想として3億5000万円を超えるのではないか」(下田社長)としている。
これまでも太陽光発電や蓄電池、エコキュートなどを設置した顧客を対象に、要望があれば塗装工事を行ってきた。塗装事業として本格稼働するため、店舗「リベラルペイント」を立ち上げた。
店舗はショールームの機能も備えた。他社と差別化を図るように内装を設計。打ち合わせスペース以外に、キッズルームを用意して家族での来店にも、対応できるように配慮した。
川崎エリアに店舗を構えるにあたって、本社に近い立地も考慮しつつ、集客やマーケティングを事前調査したという。地域の特性や顧客層、地域内の競合店などもリサーチして対応している。
「リベラルペイント」の店長であり、第1号店を任された前田智史氏は「オープン時の様子や営業的な感覚も含めて良い感触を得ている」と話している。オープン前には、チラシ配布やウェブ集客などを実施した。これらの反響もあって出足は好調のようだ。
営業手法は、チラシやウェブ集客、訪問販売の3種類。ウェブ集客においては、広告や検索エンジンを意識したサイト設計で構築した。SEOも意識し、ブログなどで定期的に情報を更新して店舗の見える化に取り組む。
営業面では主力の省エネ商材とは異なる反応があるという。このため「しっかりと顧客に向き合い、顧客が望んでいることを引き出す必要もある」(前田氏)。
省エネ商材は、提案型の営業がメインだが、塗装の場合は、すでに工事を検討し、ある程度調べてきている顧客が多くいることに大きな違いがあるという。こうした状況を踏まえつつ、「当社の理念は顧客に喜んでもらうことが根底にある。この理念は何を売ろうが変わらない。地域密着だからこそ、地域に根付く店舗作りや接客が必要」(前田氏)と強調する。
リベラルペイントは今後も順次店舗を拡大していく予定だ。
■サブスクモデルで提供
外壁塗装をテレアポ訪販する三和ペイント(本社大阪府、木原史貴社長)は11月29日、住まいの安心サポートをサブスクリプションモデルで提供する「いえもる」のサービスを開始した。塗装工事を終了した顧客との長期的な関係を構築していくことが狙い。
(続きは、「日本流通産業新聞」12月9日・16日合併号で)
〈住設訪販企業〉 主力事業拡大し収益化/人材育成、サブスクで成果も/収益性も含めた事業の新たな展開(2021年12月9日・16日合併号)
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