ネットワークビジネス(NB)企業が、ECに乗り出すケースが相次いでいる。ECサイトを開設した事業者は新たな市場での拡販だけでなく、会員によるフリマサイトの転売防止にもつなげる。ネット通販の売り上げの一部を会員のタイトルに応じ、還元することでNBへのモチベーションを高める狙いもある。NBでの購入方法も、アプリやSNSを活用した販売が増え始めている。こうしたチャネルミックスについて、「NBとのすみ分けが難しい」「会員からの反発を招き、うまくいっている企業を見たことがない」などの意見も一部では根強く残る。
ヒト幹細胞美容液のスキンケアシリーズ「アクアージュ」を販売する、アウラインターナショナル(本社福岡県、右近雅也社長)は、今年7月にECサイトを開設した。EC展開には二つの狙いがある。まずはNB企業として大手ECモールに出店することでブランディングを図ること。二つ目は、自社製品の転売の防止だ。
コロナ禍でEC市場が拡大し、一部の会員が買い込んだ同社製品をフリマサイトで転売するケースが出始めていた。公式ECサイトを開設することで、フリマサイトで販売されている製品には保証がないことを説明して、転売を防いでいる。今年11月からは、製品にQRコードを付けて識別できるようにもするという。
今年8月にはアマゾン、楽天市場に出店。9月にはヤフーショッピングにも売り場を広げた。
ECサイトでは希望小売価格で販売している。製品を会員がSNSなどで拡散して販売につなげた場合、会員価格との差益が報酬として支払われる仕組みにした。
■EC売上を会員に還元
ECサイトでの売り上げをNBの会員に還元している各社は、ビジネス活動の意欲向上につなげたい考えだ。
化粧品や補整下着を販売するネオシャルム(本社埼玉県、稲葉ひとみ社長)は来年にも、ECサイトの売り上げを成績上位の会員に還元していく計画だ。NBとすみ分けるため、サイト開設と運営は同社のグループ会社が行い、乳酸菌サプリメントなどの健康食品をネット通販展開し、NBとの差別化を図っている。
自社ECサイトのほか楽天市場にも出店している。売り上げの還元だけでなく、自社ECサイトで製品を購入してもタイトル獲得に必要なPVを会員に付与する仕組みとなっている。
(続きは、「日本流通産業新聞」9月10日号で)
【NB企業各社】〈ECサイト開設相次ぐ〉 売上還元で会員の意識向上/NBでも販売方法多様化へ
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