消費者庁/事業者側「合理的な政策を」/特商法改正検討会で書面審議

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 消費者庁は4月21日、「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討会」の第2回会合の書面審議を実施、委員から、悪質ないわゆる「販売預託商法」に関して、意見を集め、公表した。公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)の専務理事を務める万場徹委員は、「善良な事業者が法改正のたびに新たな規制遵守のための負担を強いられている」とし、合理的根拠に基づく政策立案を求めた。
 第2回の会合は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を勘案し、書面での審議を行った。期日までに集めた委員の意見を公表する形式を採った。
 悪質ないわゆる「販売預託商法」に関しては、厳しく取り締まることで、すべての委員の意見が一致した。
 消費者関連法の学者や弁護士からは、悪質な販売預託商法を厳しく規制すべきだという声が多く聞かれた。
 消費者委員会の委員も務めた経験のある、弁護士の池本誠司委員は、「過去の大規模被害は、商品販売と預託運用の実態がない『現物まがい商法』で起きた。罰則で原則禁止とすべきだ」との意見を寄せた。そのうえで、「消費者庁の執行体制を大幅に拡充する」という案も提示した。
 民法・消費者法学者の鹿野菜穂子委員は、「販売預託取引における消費者保護のためには、参入規制が必要だ」と主張。「登録・許可制度を設け、違反した事業者に対する、禁止措置と罰則を設けるべきだ」と、厳しい規制を求めた。
 事業者側の委員からは、法規制は慎重に運用すべきだという意見も出された。
 前出の万場委員は、「悪質業者排除の視点は当然で、罰則強化の仕組みづくりは重要な論点」としつつも、「政策立案に当たっては、過去の法改正の効果検証を行い、立法事実を明らかにすべきだ」との意見を寄せた。「消費者庁だけでなく、文部科学省や警察当局を含め、消費者教育の拡充も重要ではないか」とも訴えた。
 公益社団法人日本訪問販売協会の専務理事を務める大森俊一委員は「消費者被害を生む不当勧誘排除のための法整備は喫緊の課題」としつつも、「適正な消費者取引を行う事業者への影響を考慮しつつ、特商法改正の検討は慎重に行うべき」と意見した。
 日本商工会議所の荒井恒一委員は、「健全な事業者に影響が出ない制度設計を行うことが大前提」という意見を表明している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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