政府は6月21日、規制改革実施計画を閣議決定し、(1)機能性表示食品に対する法執行方針の明確化(2)同制度の運用における消費者庁食品表示企画課と同表示対策課の連携強化─の2点を消費者庁に対して求めた。閣議決定の基となったのが、規制改革推進会議でまとめた「規制改革推進における第5次答申」(以下答申)だ。規制改革推進会議委員として、議論を主導した、大阪大学大学院医学研究科教授の森下竜一氏が本紙にコメントを寄せた。
─「規制改革推進における第5次答申」に機能性表示食品に対する法執行の問題を盛り込んだ背景について聞きたい。
森下 規制改革推進会議では、第5次答申にあたり、機能性表示食品の届け出・広告宣伝の表現について議論してきた。これまでにさまざまな問題が起き、事業者から見て、予見性が低く、非常に困惑するケースが多かったと思う。また、どのように事業者が宣伝すれば良いのか、判断できなかった。
どのような場合に科学的根拠に欠けると判断されるのか、あるいは、どのような場合に景品表示法違反として措置命令を受けるのか。事後規制に対する消費者庁としての判断が必要であると考えた。
─答申で求められていることは?
森下 今回の答申で、届け出を受け付ける食品表示課と、事後規制を行う表示対策課で、制度の運用が一体化され、事業者の予見性が高まることを期待したい。また、景品表示法については、優良誤認の判定基準や科学的根拠などに関する事後規制の予見性が低いのが問題であるので、第三者的な役割を持つ機関あるいは組織を、関係団体と共に消費者庁が構築し、そこにおいて販売開始前までの段階で、科学的根拠などの評価を行うことも求めた。
─今回の答申が出たことによって期待できることは?
森下 今回求めた二つの制度運用改善事項により、届け出・広告宣伝の表現を巡る混乱が収まり、事業者がより届け出を行いやすくなることを期待している。消費者庁の機能性表示食品制度の定着に向けた努力を期待したい。
【広告表現巡る混乱に終止符を】 規制改革推進会議委員 森下竜一大阪大学大学院医学研究科教授/「機能性」届出後規制の予見性高まり期待
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