日本健康・栄養食品協会/消費者庁にトクホで要望書/従来よりも強い表現を

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 (公財)日本健康・栄養食品協会(日健栄協)は4月5日、消費者庁にトクホ制度の改善や有効活用などを求める要望書を提出した。要望書では、トクホについて、従来よりも強い表現の実現や、疾病リスク低減表示の拡大・拡充などを求めている。機能性表示食品との差別化を図ることによって、トクホ制度の発展を図るのが狙いだという。


■トクホより強い?

 機能性表示食品との棲み分けを図る狙いから、同要望書ではトクホについて、「エビデンスに沿った健康強調表示と表現ができるように」と要望している。機能性表示食品の表記が「トクホよりも強い」と、消費者や専門家に受け取られる表記があることを背景としているという。例として、トクホは「血圧が高めの方に適した食品です」という健康強調表記にとどまっているのに対し、機能性表示食品では「血圧が高めの方の血圧を改善する機能があることが報告されています」という表現が可能になっていることを挙げている。


■疾病リスク低減型拡充を

 病気のリスクを減らす旨を表示できる疾病リスク低減型トクホは、現在、カルシウムと葉酸のみが認められている。要望書では、「疾病リスク低減表示の拡大・拡充に着手していただきたい」と要望している。
 米国やEFSA(欧州食品安全機関)などの諸外国では、日本よりも多様な成分・疾病について、申請ガイダンスが示され、疾病リスク低減表示が可能になっている現状がある。要望書では今年度に予定されている「疾病リスク低減型特定保健用食品に関する調査事業」において「申請ガイダンス作成のための海外制度の調査も対象としていただきたい」などとしており、疾病リスク低減表示の拡大・拡充を求めている。
 このような海外調査によって、どんな疾病リスク低減表示の可能性が示されることになるかについて、日健栄協では、「許可されている内容は国、地域によってさまざま。それらをどのように扱うかが調査事業の重要な部分になると考えている」(特定保健用食品部)と話している。


■マーカー活用の低減表示も

 疾病リスク低減表示の拡大・拡充について、要望書では、「食品成分とバイオマーカーやそのバイオマーカーと疾病リスク低減の2段階関連性による低減表示を認める仕組み」の導入の検討なども求めている。
 食品成分の欠乏症と疾病リスクの直接的関連性によるものだけでなく、マーカーの数値改善を介した間接的なリスク低減について認められるようになれば、疾病リスク低減表示の幅が大きく広がることが期待される。
 要望書では、米国FDAの「Guidance for Industry」の例として、「疾病リスクの代用マーカーとして、(1)LDLコレステロール濃度、血清総コレステロール濃度、および血圧による心疾患(循環器疾患)、(2)骨密度による骨粗しょう症、(3)腺腫性大腸ポリープによる大腸がん、(4)高血糖(血糖上昇)およびインスリン抵抗性による2型糖尿病の使用が認められています」と紹介している。


■トクホ増加を期待

 今回の要望書は、「トクホと機能性表示食品のそれぞれの意義、目的の明確化を行い、消費者・事業者・専門家などが正しく理解し、活用できる環境とすべき」という考えにも基づいているとしている。
 消費者や専門家への適切な情報開示と仕組みの強化も要望書に盛り込まれている。具体的には、トクホについて、消費者委員会の審査結果を評価書として公開することなども要望している。
 要望書の内容が実現した場合の影響について日健栄協では、「疾病リスク低減表示に限らず、トクホ全般の申請や許可が増加することが期待される」としている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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