消費者庁/過去最長15カ月の業務停止/カード型USBメモリの連鎖販売取引で

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 消費者庁は18年12月20日、カード型USBメモリの連鎖販売取引を行っていたWILL(ウィル、本社東京都、大倉満会長)に対して、特定商取引法に基づき、15カ月の一部業務停止命令を行った。大倉会長を含めた取締役6人に対しては、同期間の業務禁止命令を行った。業務停止・禁止の期間としては過去最長。禁止命令を行った人数も最多となった。
 ウィルが行っていたのは、カード型USBメモリの連鎖販売取引。「willfon(フィルフォン)」というテレビ電話に差し込んで専用アプリをインストールするために使うのだという。同USBメモリを挿入したウィルフォンでは、通販やカラオケ、ゲームといったアプリをダウンロードできるとしている。
 消費者庁によると、同社が会員に説明していたビジネスモデルは(1)同社の会員が、カード型USBメモリを他の人に販売(2)ウィルは、購入して会員になった人から、一度販売したUSBメモリを3年契約で借り受ける(3)ウィルは、会員からレンタルしたUSBメモリを挿入したテレビ電話を、国内外のホテルなどに貸し出し(4)ウィルはホテルなどからレンタル料を徴収(5)レンタル料の一部を会員にバックする─という仕組みだ。
 消費者庁によると、18年8月6日までにUSBメモリを53万個以上販売していたという。ただ、ウィルフォンの本体は国内外で9350台しか流通していなかったとしている。同社の会員は勧誘に当たって、USBメモリの個数に比べてウィルフォンの賃貸台数が著しく不足していたことを告げていなかった。消費者庁は、こうした点を重要事実の不告知に当たると認定した。ウィルフォンはUSBメモリを挿入せずとも、アプリのダウンロードが可能だったという。
 USBメモリの販売価格は4個セットで税別29万8080円。複数セットを購入することも可能だった。消費者庁によると、同商品の契約者数は数千人。すでに4000万円を同社に支払った会員もいたという。
 消費者庁は、「17〜18年にかけて預託商法で問題となったジャパンライフと類似性があることから、新規契約による被害拡大を防ぐために、迅速で厳正な処分を行った」(佐藤朋哉取引対策課長)としている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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