NB業界/コンプライアンスの見直し活発/トラブル防止の体制作りがカギ

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ネットワークビジネス(NB)業界では、大型企業の処分などをきっかけに、コンプライアンス体制を足元から再度見直そうという動きが活発化している。本紙はこのほど、NB業界のコンプライアンスに詳しい9人の識者=別表参照=に取材し、「NB企業のコンプライアンス徹底40のポイント」をまとめた=一覧表。「仕組みづくり」など9つの視点から、実施しておきたいコンプライアンス対策などを列挙。トラブルを未然に防止する体制をいかにつくるかがカギと言えそうだ。


仕組み作り
 トラブルの未然防止には仕組み作りが肝要だ。まず「クレーム処理の社内フローを作っておく」(千原弁護士)ことが重要だろう。「行政もフローを作るよう指導している」(同)という。
 書面不備が処分や逮捕のきっかけになることも多い。「書面作成にあたっては最大限の注意を払う」(YKC藤野氏)ことが大切だ。「取引内容を理解してもらうのが目的。分かりやすい内容にすべき」(同)とアドバイスする。「小売りをする企業は訪販用の契約書面を別に用意する」(千原弁護士)必要がある。概要書面と申し込み書を一体にするなど「書面の渡しそびれがない仕組みを作る」(JNS上野氏)ことも重要だ。なお、業績や会員数、入退会者数など、「できる限り情報を開示するよう心がける」(池本弁護士)べきだ。会員のオーバートークを防ぐ意味でも役立つという。
ルールづくり
 「幅広いトラブルに対処できる会員規約を作っておく」(JNS上野氏)ことがまずは大切。「借金をさせるケースが目立っている」(国セン保足氏)ことから、池本弁護士は「財力に見合わない勧誘は無効と規約に明記する」ことを推奨する。高齢者勧誘について全相協の増田氏は「『80歳代は家族に同席を求める』など年代別のガイドラインを作っておくべき」とアドバイスする。
 ホームページやSNSを利用した勧誘はトラブルにつながりやすい。「ネットで勧誘する際のルールを作る」(千原弁護士)ことも大切だ。池本弁護士が推奨するとおり「自主行動基準を作り社会に広く公表」すれば、業界の社会的地位の向上にも、一歩近づきそうだ。
体制構築
 「経験豊富なコンプライアンス責任者を置く」(JNS上野氏)ことは有効な施策だ。直販協の青木氏が言うように、「外部の有識者などからなるコンプライアンス委員会を組成」し施策について検討することも効果的な一手といえる。「関連法規に詳しくフットワークが軽い弁護士と良好な関係を構築する」(同)ことも同時に重要だ。
商  品
 商品選択においては「特定利益(コミッションなど)がないと誰も買わない商品は売らない」(全相協増田氏)ことがまずは鉄則。池本弁護士は「投資系など、商材自体が利益を生む利殖型の商材は、扱うべきではない」と主張している。
相談体制
 相談窓口はいわばNB会社の顔。だからこそ「電話をとる人の法律教育は最優先で行う」(都ソリューションズ中川氏)べきだ。また、お客様相談室が営業部内にあるようでは機能しにくい。「社長直結の組織として作るべき」(直販協)だろう。会社には苦情の電話を入れにくいことを考慮し、「第三者機関の相談電話を活用することも有効」(JNS上野氏)だ。相談内容は「データベース化し社内で共有」「経営者が迅速に苦情を把握できるようにする」(直販協青木氏)べきだ。

(続きは本紙11月6日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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