日本広告審査機構(JARO)はこのほど、広告に対する苦情を受付・審査した統計として「2024年度上半期の審査状況」を公表した。相談の総受付件数は23年度上半期比4.9%減の5311件で、苦情は同7.7%減の4095件となった。媒体別で見るとインターネット広告への苦情が最も多かったそうだ。苦情を業種別に見ると、「健康食品」「通信販売」が急増したという。
■コロナ前の水準に
JAROでは、同統計を年2回公表している。今回の統計は24年度上半期(4~9月)のものだ。
苦情はコロナ禍の20年度に急増し、徐々に落ち着いてきているという。24年度上半期の苦情は4095件で、18年度上半期(3911件)とほぼ同レベルになったとしている。19年度には、「インターネット」媒体の苦情が前年度比42.2%増となり、急増していた。20年度にさらに伸び、苦情件数が過去最多となったが、そこからは減少が続いているそうだ。
■広告主数は減少規制の効果か
表示に対する苦情を広告主別に見ると、19年度上半期が1469事業者で、20年度上半期は1862事業者と急増していた。一方で24年度上半期は1156事業者と減少した。JAROによると、景表法の規制強化や、相次ぐ執行が効果をあげていることが、減少の要因だと分析している。さらに、一部のプラットフォーム事業者の積極的対応なども苦情減少の一因だと考えているという。
しかし、広告主数が減少した割に、苦情件数はそこまで減少していないため、一部の事業者が多数の不適切広告を行っているとも指摘している。
広告表現に詳しい薬事法広告研究所の稲留万希子氏は、「一部の事業者の悪質な広告が悪目立ちして、ウェブ広告全体のイメージが悪くなりつつあると感じている」と話す。
■健康食品が増加
苦情4095件を業種別に見ると、上位は「医薬部外品」「健康食品(保健機能食品以外)」となった。
(続きは、「日本流通産業新聞 1月23日号で)
日本広告審査機構/「2024年度上半期の審査状況」公表/「健康食品」「通信販売」苦情が急増(2025年1月23日号)
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