【住設訪販の採用動向】 新卒・中途とも採用難が続く/2社は初任給30万円を提示(2024年5月9日号)

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 「総合職の給与体系を30万円にした」。この一文は、25年卒の新卒向けに住設訪販企業が提示したものだ。住設訪販業界にも賃金のベースアップの波が押し寄せるが、目的は人材獲得にある。人材確保がさらに難しくなっているからだ。各社は今年4月に入社した新卒社員の獲得はある程度進んだものの、25年卒の採用動向は厳しくなっているようだ。新卒採用が思うように進まない一方で、中途採用を強化する企業も増加。新規、中途ともに獲得競争がより増している。ただ24年、25年とも計画通りに採用を進める企業もある。採用の鍵はどこにあるのか。各社の動向をまとめる。

■両方の獲得がマスト

 他の業種よりも人材の質と数が重要となる住設訪販企業にとって、人材獲得の成否は会社の成長を左右するといえる。
 採用の方針や取り組みは各社で異なる。これまでは新卒採用を重視する傾向にあったが、アフターコロナでさらなる人手不足を見据えて新卒獲得の動きは活発化している。こうした動向が中堅・中小企業の採用にも影響を与えるが、人材は大手や成長企業に流れている。
 新卒採用が厳しくなることを見据え、中途人材の動向にも注目が集まっているが、すでに中途採用も競争は激しい。
 住設訪販企業の中途人材は、部下をまとめられるマネジメントスキルや営業力が求められる。中途採用に見合うスキルを持つ人材は安易に集まらない難しさもある。
 人材獲得が難しくなっている今、新卒と中途の両方を着実に確保していく時代に突入している。


■商社を訴求

 各社の採用動向はどんな状況になっているのか。
 太陽光発電や蓄電池を販売する日本住宅総合開発(本社愛知県、加藤皇大社長)の今年4月の新卒入社数は、計画していた20人には届かず12人にとどまった。
 24年の採用動向について加藤社長は「内定は数多く出していたが、内定辞退が多かった」と振り返る。ただ、採用者の質は高いとした。
 同社は前年、求人募集の出し方を変えた。環境やセールスなどを主とせず、「商社」という部分を前面に押し出して採用活動を進めた。実際に同社は商社化を進めており、これを強調した形だ。
 一方、中途採用は前年に比べると動きが鈍いようだ。同時に面接辞退も多いという。
 来年4月には新卒20人の採用を計画し、中途採用は適宜進めていく方針で、新卒入社の少なさを中途で補っていく。


■悩みを先に解決

 太陽光発電や蓄電池、給湯器などを販売するリベラルソリューション(本社東京都、下田穣社長)の今年4月に入社した新卒は計画の10人に対して9人だった。不動産事業などを含むグループ全体では16人の採用となった。
 同社の採用手法は合同説明会や人材紹介会社などを活用している。ただ、これらの手法は飽和状態にあり、獲得自体は年々難しくなっているという。

(続きは、「日本流通産業新聞」5月9日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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