イオンネクスト(本社千葉県、バラット・ルパーニ社長)は7月10日、最先端のAI、ロボティクス機能を導入した日本初の顧客フルフィルメントセンター(CFC)を物流拠点とするオンラインマーケット事業「Green Beans(グリーンビーンズ)」を本格稼働した。7月10日に千葉市内で記者発表会を行い、AIを活用した物流倉庫を報道陣に公開した。
まずは、東京都新宿区、渋谷区、千代田区、中央区、大田区、千葉県千葉市、船橋市、習志野市で開始し、今後1年で東京23区全域へ配送を拡大する。
新サービス「グリーンビーンズ」は、都心部に住む若いファミリー層をターゲットに、まとめ買い利用を取り込む。過去の購入履歴をAIが購入しそうな商品をレコメンドし、自動でカートに入れる「スマートカート」を実装した。レシピ機能も充実させ、必要な食材を購入できるようにする。
注文はスマホアプリで受け付け、配送時間は無休で7時から午後11時まで1時間単位に設定できる。2週間先まで指定できるほか、配送直前に配送予測時間をメールで通知して利便性を高める。
約2000品目の冷凍食品やミールキット、海外のビーガン向け食品、医薬品、ベビー用品など、初年度で店頭の2倍となる最大5万品目の品ぞろえを目指す。1週間の鮮度保証された生鮮野菜「1週間鮮度保証(鮮度+)」を新たに設け、販売していく。
物流倉庫を報道陣に公開した。英国・オカド社のノウハウを生かし、車輪付きのロボットが縦横無尽に移動。レールの下にある商品が入ったカゴを選び、約6分間で商品50個を集める。2階にいるスタッフがAIで制御された画面を見ながら、商品をピックアップして配送トラックに詰め込むという流れだ。
配送については、子会社であるイオンネクストデリバリーが直接雇用するグリーンビーンズ専任スタッフが担う。効率的な配送ルートについて、道路の状況、ドライバーの休憩時間、1件ごとの顧客の注文サイズや温度帯など、AIが1秒間で1400万通りを計算し、最適ルートを導く。スタッフが携帯する端末で、配達する商品が的確に分かるようにトラックの内装も工夫を施した。
26年に東京・八王子市に50店舗分、28年にはさいたま市に倉庫を稼働させて、将来的に合わせて200店舗分の出荷が可能になるという。
イオンの吉田昭夫社長は「イオンのデジタルシフトの象徴的な取り組みであるグリーンビーンズがいよいよ始まる。千葉で作られる新鮮な野菜を、リアルよりも鮮度が高く届けられる。オカド社の技術を活用し、店舗と同様にお客さま満足を追求していきたい」と話した。
オカド社のティム・スタイナーCEOは「イオンは新しい顧客との絆を深めようとしている。今回のサービスは全く新しい変革をもたらす新しいECサイトとなる。他のECが解決できなかった課題を解決することで顧客にサービスを提供してきた。最先端のテクノロジーを使った日本で活用できることをうれしく思う。当社にとってアジアで初めての展開となり、今回は大きなマイルストーンとなる」と話した。
ルパーニ社長は「当社のミッションは買い物体験を変えること。日々の生活を変え、社会に貢献できるサービスを提供していく」と説明。1週間鮮度保証「鮮度+(せんどぷらす)」について、「オンラインだからこそ新鮮であることを訴求したい」と強調した。
即日宅配にこだわらない点について、ルパーニ社長は「鮮度+など、コールドチェーンを維持することで当社の価値がある。1週間分の買い物をこのサイトで利用してもらいたいと考えている」と話した。
記者発表会には千葉県の熊谷俊人知事、千葉市の神谷俊一市長らも出席した。
イオンネクスト/「グリーンビーンズ」稼働/最新AI活用の物流倉庫を公開(2023年7月13日号)
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