【EC注目株】第42回 スクロール/商圏の6割が生協ネット通販の積極化に注力も

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千葉明氏

千葉明氏

 スクロール(旧ムトウ、8005)は、カタログ通販の準大手。そしていまネット通販の積極化に注力している。
 取り扱う商材は「アパレル」「インナー」「生活・服飾雑貨」「化粧品・健康食品」に大別できるが、現下の最大の特徴は商圏の6割方が「日本生活協同組合連合会(生協)」という点。その背景は創業期、そして初期成長期の営業戦略に求めることができる。
 祖業は、(足踏み)ミシン6台による洋裁・衣料品販売。そして成長期入り、強いては現在の経営基盤を築き上げた独特の商圏開拓戦略について経営企画課長の鈴木康晴氏は、「地域の婦人会に代表される地域団体に販売の機会を求める施策をとりました。結果、その最大の場として生協さんに至ったという次第です」と説明した。創業者(武藤鐡司氏)の慧眼は、大いに評価に値する。
 そんな同社がネット通販を販売チャネルとして取り入れ始めたのは、1996年。パソコンが日本で普及し始めた草創期。そしてここ数年前からは生協でも「アパレルなどを主体にECに本腰を入れています」(鈴木氏)という言葉からは、「生協の若手顧客層の深耕」の狙いが受け止められる。
 また前14年3月期からは例えばアパレルでも、「シニア向け商品の開発・販売を意識的に注力している」(同)と言う。時代を反映した施策の展開といえる。ちなみに前期末で、BCのネット通販の比率は約63%に至っている。
 スクロールのネット通販を語るとき、ある〝こだわり〟を記しておきたい。同社の原点といえる「縫製」の状況が微細にチェックできる枠組みが一ネット上に組み込まれている点である。
 取扱商品は、自社および仕入れ先企業とのコラボで企画される。そして生産の約9割が中国の委託先工場。ただ諸般の事情を鑑み、ジャカルタやASEAN等にも生産拠点の拡充が進められている。
 スクロールについて他ならぬ同業他社の間からは、「意識的に拡大期入りを画策している」とする声が聞かれる。そしてその証しとして、「前期、広告宣伝費を10%増やした。グループ全体の従業者数を一気に約12%増員している」と指摘する。
 そんな同社の株式を投資対象とする場合の姿勢だが、押し目拾い構え。
 4月初旬段階では300円以下だった株価が第1四半期の想定を大幅に上回る好調(営業利益で、会社側の今期通期予想を50%強上回る)を受け445円まで急伸。時価は400円出入り。格好の押し目場面。上方修正待ち。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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