薬用化粧品(医薬部外品)において「美白」表現の注意点を教えてください。(化粧品通販会社担当者)
承認受けた効能効果に基づき表現する必要が
「美白」の文字だけ見ると「肌が美しくなる」「白くなる」かのようなイメージがありますが、残念ながら「美白」イコール「肌が白くなる」ではありません。
日本化粧品工業連合会(以下、粧工連)による『化粧品等の適正広告ガイドライン2012年版』にも、下記のようなことが記載されています。
「継続して使用しているうちに既に黒い肌の色が段々と白くなる旨を暗示することは認められない。」
「美白効果」「ホワイトニング効果」等は薬機法による承認を受けた効能効果ではないのです。よって、一定のルールに基づいて表現する必要があります。
例えば、承認を受けた効能効果が「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」のであれば「美白*」とし、近くに「*メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」と書き添えます。
また、承認を受けた効能効果が「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」であれば、同じく「美白*」とし、近くに「*メラニンの生成を抑え、日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」と書き添える…と言った具合です。
一方で、メーキャップ効果により肌を白く見せることができる場合。例えば、UV化粧品のような下地効果や塗ったときにうっすらと肌に色がつくなど、物理的なメーキャップ効果を持つのであれば、「肌が白くなる」「明るくなる」と言った標ぼうは可能となります。これは薬用化粧品であろうと単なる化粧品であろうと同様です。
要は、『美白有効成分の作用』で「肌が白くなる」「明るくなる」はできないものの、事実に基づいて─
○肌が白くなります(※メーキャップ効果によるもの)
○肌がワントーン明るく(※メーキャップ効果によるもの)
─とするのであれば、表現可能ということです。
そしてもう一つ。うっかりやってしまいがちなことがあります。
”メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ”等、薬効が認められている美白系化粧品は、「これからできるシミを防ぐ・予防する」ものですので、「できてしまったシミ」への効果は述べることができません。
「シミを消す」「シミを薄くする」はもちろん、「今あるシミに…」「シミを薄く…」といった表現の使用は不可となり、単に「できてしまったシミへ」や「濃いシミ」「肌に残ったシミへ」などでも効能効果の逸脱と解釈される可能性がありますので、注意が必要です。(月1回掲載)
〈稲留万希子氏 プロフィール〉
東京生まれ。東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社に就職。在職中に出かけたアジア旅行で各地に根付いている東洋医学に興味を抱き、国際中医専門員、薬事法管理者の資格を取得して独立。数々のサイトをチェックしてきた経験を基に現在は、”ルールを正しく理解し、味方につけることで売り上げにつなげるアドバイス”をモットーとした「薬事法広告研究所」サービスを展開中。
【ネットショップのための薬事広告のイロハ】連載70 「美白」表現の注意点は?
記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。